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ギリシャに継承されたドイツ流のスタイル。 

text by

永井洋一

永井洋一Yoichi Nagai

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photograph byNaoya Sanuki

posted2004/07/15 00:00

ギリシャに継承されたドイツ流のスタイル。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

 前回このコラムで、近代サッカーに乗り遅れているかのようにみえるドイツ、イタリアが、ユーロでどのような戦いをするか楽しみだと書いた。しかし、ドイツも、イタリアも、無残にグループステージで脱落した。特にドイツは、消化試合用に送りだされたチェコの控え選手に負けたのだから始末が悪い。

 一方で、新鮮な驚きをもたらしたのがギリシャだ。開幕戦でポルトガルを撃破し、スペインを蹴落とし、フランスまで引きずり下ろした。この原稿を書いている段階ではチェコとの準決勝が決まっている。ギリシャの持ち味は、組織の整備された守備と、「ダイレクトプレー」を地で行くシンプルな攻撃だ。個々の局面では、あっといわせるような派手なプレーはないものの、選手は献身的に動き、基本通りの動きを地道に組み立て、安易にギャンブルせずに確率の高い方法を選択してゲームをつくっていく。つまりそれは、チームの指揮官オットー・レーハーゲルによって注入されたドイツのスタイルに他ならない。

 ドイツナショナルチームは早々に大会を去ったのに、そのドイツのベテラン指導者が築き上げたサッカーがセンセーションとともに大会を盛り上げたという皮肉。'06年W杯開催を控えたドイツサッカー協会は、この現実を重く受け止めていることだろう。原因ははっきりしている。ブンデスリーガに、あまりにも多くの外国人選手を流入させたことだ。リーグの多国籍化は欧州の現実だが、EU外からの選手については一定の規制を設けている国もある。三都主のイングランド行きが流れたのも、その規定を満たせなかったからだ。しかしドイツではそれが甘い。その結果、ピッチ上にいるドイツ人はやっと半分、というブンデスリーガが進行しているのである。

 レーハーゲルはもちろんのこと、ナショナルチーム監督の後任と噂されるヒッツフェルト、前シュツットガルト監督のマガト、レバークーゼンで活躍したトップメラーら、優秀な指導者は少なくない。ドイツが国として保有しているノウハウは決して悪くはないのだ。しかし、そのノウハウがリーグのチーム強化に貢献しても、自国選手の強化につながらないのであれば本末転倒である。知恵を出す、努力をするという点では人後に落ちないドイツのこと。改革と奮起を期待したいものだ。

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