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最速&最年少50勝達成。ウッズの快進撃は続く。 

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三田村昌鳳

三田村昌鳳Shoho Mitamura

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posted2006/08/31 00:00

 「僕は出る試合は全部勝ちたい。勝つことを目指さないで、戦いに出る意味などないのだから──」

 '96年、20歳でプロ転向してから、タイガー・ウッズはどんなインタビューにも決まってそう言い続けてきた。

 そのウッズが米ツアー参戦210試合目(プロとしては196試合目)のビュイック・オープンで優勝、30歳で通算50勝を達成した。ほぼ4試合に1度は優勝という驚異的なペースで、これまで歴代最速だった帝王ジャック・ニクラスの33歳で50勝を約3歳も短縮したのである。

 デビュー当初のウッズには、なんて鼻っ柱の強い若者だろう、という印象を抱いていた。ゲームへの闘争心や1打1打のショットの迫力には、見ているこちらが息切れしてしまいそうなくらいのエネルギーが漲っていた。

 ところが年齢を重ねながら成長していく過程で、当初持ち味とされた突出した棘のある強さは薄れていった。1打のスーパーショットをこれ見よがしに見せつけたり、4日間72ホールを全力疾走するのでなく、むしろ無理をせずに淡々とプレーをし、穏やかに勝機を待つスタイルを身につけていったのだ。

 かつて帝王ニクラスは、「本当の強さとは強さが際立たないことであり、また、どんなに不調のときでもスコアを大きく崩さない底力のことを指す」と言ったことがあったが、ウッズはまさにニクラスの至言通りの成長を見せてくれたと言ってよいだろう。

 いまウッズは初日のスコアがどんなに首位と離れていても焦らない。自分のペースを乱さないゲーム運びで着実にスコアをまとめてくる。攻めのゴルフではなく、チャンスを待つゴルフ。特筆すべきなのは、たとえ土壇場であっても訪れた勝機をほとんど逃さないことだ。

 ゴルフの場合、一般的に28歳から32歳がキャリアのピークといわれている。充実のときを迎えているウッズに対し、気の早い米メディアの中には、「キャリアを通じ、通算120勝を達成することもあり得る」と報じるものもある。これはサム・スニードの持つ歴代最多の82勝を優に超える大記録だ。

 「勝つためにトーナメントに来ている」

 ウッズが放ち続けた言葉には、いまや恐ろしいまでの凄みが帯びている。

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