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米国テニス復権の鍵は、あの熱血漢が握っている。 

text by

吉松忠弘

吉松忠弘Tadahiro Yoshimatsu

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photograph byHiromasa Mano

posted2006/08/17 00:00

米国テニス復権の鍵は、あの熱血漢が握っている。<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

 世界を引っ張ってきた米国テニスが危機に瀕している。今年のウィンブルドンで、米国選手が男女ともにベスト8に残れず、'22年に現行方式が始まって以来初めてという不名誉な記録を作った。これが、彼らが苦手な赤土で行われる全仏なら納得できる。しかし、男女あわせてシングルスで88回の優勝を誇るウィンブルドンでの惨敗は、米国テニスの将来が危ぶまれる出来事だ。

 南米の台頭、旧東欧の躍進、アジア女子の成長など、米国を脅かす要因はいくらでもある。しかし、一番の問題は、若手が育っていないことに尽きる。男子はサンプラス、アガシらに頼り切り、女子のダベンポート、カプリアティはケガで戦線離脱、ウィリアムズ姉妹は燃え尽き……と、若手への健全な橋渡しは行われていない。その間に、サンプラスは去り、今年の全米でアガシも引退する。ダベンポート、カプリアティの今後も微妙だ。

 中でも若手の代表格で、順風満帆と見えたロディックの不調が米国テニスの陰りを代表している。ジュニア世界1位から、'03年に全米で4大大会に初優勝し、一般でも世界1位の座を手に入れた。世界最速のサーブを誇り、プロとしての実力も見栄えも、米国テニスの継承者として期待された。しかしこの半年以上優勝から見放されている彼は世界ランクでも10位に転落し、今年は4大大会でベスト8にも進めない。ストロークが安定せず、特に弱点のバックが足を引っ張っている。

 そのロディックを救うために立ち上がったのが、8度の4大大会優勝を含む109度のツアー優勝を誇る往年の名選手コナーズだ。7月下旬にロディックの正式コーチとして就任した彼だが、'92年の引退後、コーチの道は歩んでこなかった。プロモーターとしてシニアツアーを創設し、その選手として活躍。指導者より興行を優先させてきた。そのコナーズが、急にロディックのコーチになったのだから、周りは驚いた。

 「それほど難しいことをするわけじゃない。彼をベストな状態にさせるだけなんだから」というコナーズは、現役時代は派手なパフォーマンスと情熱的なプレーで米国テニスの象徴といわれた。ロディックの再生は、自らが築いた米国テニスの復活につながる。米国テニスの将来が、コナーズの双肩にかかっているのだ。

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