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23歳C・コルデロがスピード出世できた訳。 

text by

出村義和

出村義和Yoshikazu Demura

PROFILE

photograph byYukihito Taguchi

posted2005/08/04 00:00

23歳C・コルデロがスピード出世できた訳。<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

 帽子を目深にかぶったマウンド上の表情は精悍そのもの。23歳という年齢を感じさせない落ち着いたプレートさばき。一昨年6月にドラフト1位で指名されたチャド・コルデロはマイナーリーグわずか19試合の登板でメジャーに抜擢され、昨年途中にはクローザーの座についた。今シーズンは新生ナショナルズ躍進の中心的役割を果たしているだけでなく、オールスターにも選ばれた。

 「こんなに早く活躍できたのはラッキーとしか言いようがないけど、恐れず内角を攻める事を肝に銘じているのがその助けになっていると思う」

 オールスター戦直前、ビッグスターが居並ぶコメリカ・パークのクラブハウス。帽子をとったコルデロは、マウンドの印象とはまるで違う。特徴的な太い眉毛と、やや不揃いで虎刈り風の坊主頭。シャイな感じの笑みがのぞく表情はなかなか漫画チック。メジャー最多の32セーブをマークしている投手とはとても思えない。

 クローザーという役割や、その成績から受ける豪腕投手のイメージからも遠い。ファストボールはコンスタントに90マイル(約144km)を超えるが、最速で95マイル(約152km)だ。現代のクローザーでは決して速い部類には入らない。スライダーとチェンジアップも投げるが、飛び抜けて威力があるようには見えない。フランク・ロビンソン監督は語る。

 「彼には抜群の制球力と、常に強い精神力がある。僅差であろうが、大差だろうが、同じ緊張感を持って投球ができる。そういう投手は珍しい」

 カリフォルニア大フラートン校1年生の時にクローザーに指名され、全米大学選手権や日米大学野球など大舞台も経験した。

 「大学時代に技術的な事をたくさん教わったけれど、それ以上にプレッシャーの対応など精神面で学ぶべきことがあった」

 大学で充実した野球生活を過ごした事が、マイナーリーグをほとんど経験しないスピード出世に結びついたらしい。

 佳境に入った後半戦。初優勝を目指すナショナルズの戦いぶりは大きな見所だ。

 「モントリオール時代との違い? ワシントンの球場には人がいっぱいくることかな」

 メキシコ系三世は、太い眉毛を少し動かして、笑みを浮かべて言った。

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