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119敗チームを引っ張るヒスパニック・シンボル。 

text by

出村義和

出村義和Yoshikazu Demura

PROFILE

photograph byYukihito Taguchi

posted2004/07/29 00:00

119敗チームを引っ張るヒスパニック・シンボル。<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

 タイガースのペナントレースは、昨年も一昨年も、その前も……、夏がくる前に終わっていた。特に昨シーズンは119敗を喫し、メジャーのワースト記録をもう一歩で塗り替える体たらく。イバン・ロドリゲスはそんな没落しかかった名門チームの救世主かもしれない。そう水を向けると、特徴のある大きな目を光らせてこういった。

「ハードに練習をして、小さな子供のようにプレーを楽しめばいい。オレがやっているようにやれば、強くなる」

 それほど単純なものではないと思うのだが、実際ロドリゲスがFA移籍してきたタイガースは、見違えるような溌剌とした試合ぶりで42勝45敗(7月14日現在)。負け越してはいるが、首位まで5・5ゲーム差につけている。

 その原動力になっているのが、ゴールド・グラブ賞10回受賞に輝き、史上最強捕手ともいわれるロドリゲスであることは誰の目にも明らかだ。若手投手陣の好リードや強肩ぶりばかりでなく、今年のロドリゲスはバットも絶好調。開幕戦でチームを勢いづかせることにもなるホームランを昨年のサイ・ヤング賞投手ロイ・ハラディから放ってからというもの、とどまるところを知らない。6月には、75打数以上ではこの25年間で3人目という月間打率5割をマーク。このペースなら62年ぶりで捕手の首位打者が誕生する可能性も高い。

「例年以上に打席で集中できている。でもタイトルは二の次。何よりも優先されるべきは勝つこと。オレはそのためにプレーしている」

 最後にワールドシリーズを制覇した'84年のチームで捕手を務め、今はブルペンコーチのランス・パリッシュはいう。

「試合前のミーティングでも積極的に発言する、選手の鑑のような人物。彼が契約している4年間で、何とかチームを復活させたい」

 プエルトリコ出身のロドリゲスは、メジャーで約4分の1を占める中南米系選手のお手本のような選手でもある。先日もヒスパニック系メディア選出の『'03年ラティーノMVP』を受賞。ア、ナ両リーグでの受賞は初めてのことだ。

「若い中南米選手から目標にされる、誇り高き選手であり続けたい」

 名門復活を担う男は同時に、ロベルト・クレメンテのような、ヒスパニック系選手のシンボルになりつつあるのだ。

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