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格調高き春の天皇賞、
制するはどの馬か。 

text by

片山良三

片山良三Ryozo Katayama

PROFILE

photograph byYoko Kunihiro

posted2009/04/30 07:01

格調高き春の天皇賞、制するはどの馬か。<Number Web> photograph by Yoko Kunihiro

 古馬最高の栄誉をかけて、という重い言葉が前に置かれて紹介されるレースは天皇賞だけ。かつては昭和天皇の誕生日に強くこだわり、曜日よりも4月29日を最優先して開催されたものだ。勝った馬は文字通りの「勇退」となり、二度と天皇賞への出走は許されないという独特のルールも'80年まで存在していたし、表彰式では賞を受け取る側が自ら台を下り、敬意の象徴として白い手袋を着用したうえで天皇盾を賜るしきたりは今も続いている。年配者は特に名誉を感じるもののようで、この日だけは正装に威儀をただす関係者の姿も少なくない。

 しかし「天皇賞(春)」のレースとしての人気は、残念ながら著しく下降している。もともとは春も秋も3200mで行われていたものが、サラブレッドのスピードアップに適応する意味で秋のそれのみが2000mに短縮され、春は伝統を守る形とされた。これに対してはいまでも賛否両論あるのだが、現実として出走させる側がこの長過ぎる距離を嫌う傾向が見えているのは否定できない。今年を例にとれば、ダービー馬ディープスカイが安田記念から宝塚記念へ向かうローテーションを選択したのがそれだし、年度代表馬ウオッカだって、春天が2000mだったらドバイへは向かわなかっただろう。3200mというのは、馬を生産する側がそれを目的として配合を考えていないいまの時代においては、かなり不自然なカテゴリーという気がするのだ。

流行らぬ3200mでもフルゲート。レースそのものは面白い

 そうは言っても天皇賞。血の限界を超えた距離に果敢に挑戦しようという馬が今年はフルゲート18頭、きっちり埋まりそうだ。それはつまり、格下と目される馬たちにも可能性がありそうだからだが。

 中心はアサクサキングス。一昨年の菊花賞馬で、昨年のこのレースの3着馬。絶対的なムードこそないが、主役を1頭だけあげるとすればこの馬しかいない。

 ジャパンカップ勝ちがフロックではなかったことを証明したいスクリーンヒーローと、大阪杯でディープスカイを破ったドリームジャーニーがそれに次ぐ存在。重賞未勝利のジャガーメイルも、香港の2400mのGⅠで3着した実績からすれば、勝って不思議ないポジションにいると見ることができそうだ。

 5月3日の京都。歴史に支えられた格調高い戦いに注目したい。

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