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渡辺久信の明るさは
ライオンズを救えるか。 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2007/12/28 00:00

渡辺久信の明るさはライオンズを救えるか。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

 人が監督になるときというのは、タイミングと運がある。いくら実力があろうが生え抜きだろうが、すべてはチームの状況次第だ。西武の新監督になった渡辺久信は、就任要請が来たとき「千載一遇のチャンス」と思ったという。チームの状況は厳しい。しかしそれが渡辺のタイミングだったということだろう。

 松坂大輔が抜けて迎えた今シーズン、チームは26年ぶりのBクラスに転落。今オフにはカブレラ、和田一浩の主軸が出て行った。補強の見通しも立たないチームの監督は誰にとっても貧乏クジ。そんな状況で白羽の矢が立ったのが二軍監督をやっていた渡辺だった。

 二軍監督時代に特筆すべき結果を出したわけではないから、やってくれるのは渡辺しかいなかった、というのが本音だろう。渡辺が監督をやる上での条件は、ヘッドコーチに黒江透修を入れてほしいということぐらいだった。'95年から監督を務めた東尾修を思い出す。東尾も「まさか自分が指名されるとは……でも断る理由はない」と、まったく条件を付けずに監督を引き受けた。

 しかし、低迷したチームの雰囲気を一変させるには、渡辺のような人間が適任かもしれない。

 現役時代は工藤公康、清原和博らとともに、エースとして黄金時代を支えた。だがその後、戦力外通告を受けヤクルトに移籍し、最後は台湾でひっそりと現役生活を終えた。スターの時代と黄昏の晩年の両方を経験している苦労人。海外での単身生活を経験したことで腹も据わっている。加えて底抜けの明るさがある。

 自分の役割は本人も意識しているようだ。チームの澱んだ雰囲気を一掃することから手がけ、先日の秋季キャンプでは全体に明るさが見えた。渡辺を支えるのは、打撃コーチの大久保博元と投手コーチの小野和義だ。大久保はそれまでの収入が半分になったというが、「ナベちゃんのためにやる」と言い、小野は同期入団、同じ北関東出身のよしみで「監督のために尻はふく」と引き受けた。

 散り散りになっている黄金期のOBたちが所沢に集まる雰囲気が作れれば、チームは再び活性化するだろう。そのためには、まずは成績よりも雰囲気作りのできる渡辺が、どれぐらい自分の色を出せるかにかかっている。

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