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素材よりも努力で弟を凌駕する堂上剛裕。 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

PROFILE

posted2007/08/23 00:00

 福留孝介がヒジの故障で戦列を離れることになった時、中日・落合博満監督は、辻発彦・二軍監督に連絡を入れ、「思い切りのいいバッティングができる野手」の調達を頼んだ。落合は現役時代、いくら打っても一軍に上げてもらえず苦労した時期がある。それもあってか、若い選手にチャンスを与えることには積極的だ。

 2年目の新井良太、4年目の中村公治と堂上剛裕。後半戦スタート早々の7月24日に3人合わせて一軍登録されると、27日のヤクルト戦にそれぞれ代打で起用された。ここでチャンスをつかんだのが堂上剛だった。いきなりプロ初安打となる二塁打を放つと、次の打席でもタイムリー三塁打を打ってプロ初打点をあげる。四球で出塁した新井がその後も使われ、センターフライに終わった中村公が再び二軍落ちしたことを考えると、この日が運命の分かれ目だったか。

 スタメンの機会を与えられた堂上剛は、29日にヤクルト・館山昌平からプロ入り初ホーマーを放ち、これが決勝点となる。

 「親父や弟を意識せずに、気負わずに打席に立てるようになりました」

 元中日の照(現中日合宿所「昇竜館」館長)を父に持ち、弟の直倫も中日の選手である。弟は'06年のドラフト1位、兄は'03年のドラフト6位。将来の4番として期待されている弟に比べ、兄は影が薄かった。しかし、素材の良さではかなわなくとも、努力では負けていない。昨秋、ハワイ・ウインターリーグで武者修行し、今春のキャンプでも必死にバットを振り続けた。あとはきっかけだけだった。

 史上6組目の親子本塁打となるこの一発を契機に、面白いようにヒットが続き、後半戦12試合で打率3割9分4厘。長打率は6割を超えた。

 「必ず壁にぶつかる時がくるだろうが、それをどのように切り抜けるかで将来が決まってくる」

 父親、照の言葉である。兄弟ともども待望久しい地元のスター候補生である。これから立ちふさがる壁は、普通の選手よりも高いものになるのだろう。

 7月8日、ウエスタン・リーグの広島戦。弟が打ち兄が続く、兄弟初のアベック本塁打を記録している。一軍ではいつのことになるか。チャンスをつかんだ兄が、一足先に一軍で待つ。

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