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女子バスケをロンドンへ。中川文一、10年ぶりの登板。 

text by

増田晶文

増田晶文Masafumi Masuda

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posted2009/02/26 00:00

 中川文一が、10年ぶりに女子バスケット日本代表の指揮をとる。

 前回、中川が代表監督をつとめたのは、'90年から'99年までだった。'96年アトランタ五輪は7位入賞、'98年にはアジア選手権で中国、韓国らをおさえ優勝している。

 中川は復帰に際し、ことさら気負ってはいない。だが、きっぱりといった。

 「責任の重さは知っています。だけど、覚悟もなしにお受けする仕事じゃない。大きな目標に向け、全力をつくします」

 中川の経歴は圧倒的だ。'76年からシャンソン化粧品を率いてリーグ優勝14回、全日本総合選手権制覇10回を数えた。'04年に富士通へうつって、昨年チーム初のリーグ優勝に導き、昨季まで全日本総合選手権で3連覇を果たしている。

 「代表監督の座を退いた後も、ずっとアジア、さらには世界の強敵たちを意識していました。富士通の選手にも、『ナショナルチームで活躍するため』というモチベーションを与えてきたつもりです」

 中川が標榜するのは、メンバー全員が機敏かつ的確に駆け、早いパス回しで執拗かつ果敢にゴールを狙うバスケットだ。もちろん、ディフェンス面でもアグレッシブさを失わない。中川はつけ加える。

 「大事なのは選手の自主性です。コーチのロボットをつくる気はない。高い運動能力と判断力を持ち、コートの中で自立できなければ、世界を相手に勝てません」

 だが、彼の理想はかなりハイレベルだ。日本には、プレーを強要されることに慣れ、ベンチの指示どおりに動く選手が多い。中川のいう「自主性」の意味をはき違えるケースもありえる。実際、彼はその現実にぶちあたり苦労もしてきた。富士通では、選手との“通訳”として、かつての教え子の岡里明美をアシスタントコーチに置き効果をあげたものだ。日本代表でも同様の人材登用がキーとなろう。

 中川はかつて、加藤貴子や萩原美樹子、村上睦子ら名選手を擁して世界と闘った。おりしも昨年、日本はU-18アジア選手権で初優勝している。主力の渡嘉敷来夢や間宮佑圭、篠原恵といった、長身で機動力に富んだ若い逸材は、ロンドン五輪を狙うチームを大いに活性化するはずだ。

 「まずは韓国、中国を倒します」

 61歳になった中川のまなざしには、ときおり温和さが漂う。しかし勝負を語るときばかりは、そこに強い光が宿る。

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