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12人の監督が選んだ、理想のレフェリーとは。 

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byShinsuke Ida

posted2006/02/23 00:00

12人の監督が選んだ、理想のレフェリーとは。<Number Web> photograph by Shinsuke Ida

 「この賞をすべてのレフェリーと共有して、一緒に喜びたいです」

 相田真治レフェリーは、その日壇上に上がった誰よりも嬉しそうに見えた。

 マイクロソフト杯決勝から一夜あけた2月6日、東京都内のホテルで開かれた「トップリーグ・アウォーズ」。フェアプレー賞、優勝などのチーム表彰に続き、個人表彰の最初に発表されたのが、新設された「ベストホイッスル賞」だった。Jリーグでは発足1年目の'93年から最優秀審判員賞を設け、4年目の'96年からは優秀副審も表彰して現在に至っているが、ラグビー界ではこれまでレフェリーが表彰される機会は皆無だった。

 「レフェリー委員会の仲間うちで表彰することがあったくらいですね。でも僕はもらったことがなかった」と相田さん。ベストフィフティーンは記者と、参加12チームの監督による投票の合計で決まるが、ベストホイッスル賞には記者投票はなく、監督票だけで決められた。

 「チームサイドに選ばれたということが一番嬉しいですね。こっちはイエローカードを出してる側だけど、それでも納得してもらえたということですから」

 理想のレフェリー像は立場で変わる。指導者は正確で一貫した笛を求めるが、観客には細かいミスなど流してプレーを連続させるスリリングな笛が楽しい。それでも、普段は不平を言うチーム側が「良いと思うレフェリー」を選んだ事実が嬉しい。もっとも「該当者なし」も1票あったとか……中には高圧的な態度で試合にストレスをもたらす論外レフェリーもいるから気持ちは分かる。

 情報分析が進んだ現在、チームがレフェリーをスカウティングするのは常識で「僕もチームを研究してます」と相田さんは言う。違うのはその結果を相手に示すこと。担当するチームに多い反則があればその場面を集めたビデオクリップも作り、その映像を当の監督や選手に見せながら自分の判定基準を説明。それを両チームに平等に施す。44歳の神奈川県立高校教員には準備時間の捻出も容易ではないが、その結果、無駄な反則が減って自分も試合を楽しめれば無上の喜びだ。

 「トップリーグの選手は頭がいいから、基準を示せばその通りできるんです」

 次の担当は26日。初めて吹く日本選手権決勝に向け、今日も準備に打ち込む。

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