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0勝チャンピオンとは呼ばせない。 

text by

大串信

大串信Makoto Ogushi

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posted2008/05/01 00:00

 昨年、全日本選手権フォーミュラ・ニッポンのシリーズチャンピオンは、全9戦中未勝利のままに終わった松田次生のものとなった。優勝こそできなかったものの上位入賞を続け、規則通り最多得点を獲得して決まった王座だから松田が引け目を感じる必要はない。だがランキング3位の小暮卓史は3勝を挙げており、ドライバーの速さを競う種目としては、どこか割り切れない思いが外部の人間にも、おそらくは松田本人の心の中にも残った結果ではなかったか。

 だからというわけでもあるまい。松田は今シーズンに向けて開幕前の練習から終始好タイムを記録し続けた。今年のF・ニッポンでは新しくパドルシフトシステムが導入され、ドライバーは、ステアリングから手を離さずにシフトチェンジができるようになった。その分、ドライビングスタイルも若干変わる。それに対応しながら、松田は最速で有り続けた。

 そうして迎えた開幕戦、松田は周囲を圧倒した。まったく危なげなくポールポジションをもぎとり、決勝スタート直後こそ一旦首位を奪われたもののすぐさま走行ラインを切り返して首位に立つと、そのまま誰にも脅かされることなくレースを走りきって優勝を遂げたのだ。松田にとってポールトゥウインは初めての経験。優勝は2年ぶり、通算3回目である。

 実は新しいパドルシフトシステムには、初期トラブルが続発した。しかし松田のマシンには問題は発生しなかった。電気的システムとはいえ、減速とシフトダウンのタイミングによっては、負荷は変わる。松田は、機械に負荷をかけない正確なドライビングをした結果、トラブルを避け得たと言えるかも知れない。

 優勝後松田は、やはり昨年「0勝チャンピオン」と呼ばれたことが気になっていたと告白した。

 「だから僕がチャンピオンだということを(結果にして)見せつけようと思っていた」と。

 シーズンを越えて達成した完勝によって、松田は初めて自他共に納得のいく王者になったのだろう。とはいえ今年は有力な新人も多く参加しており、3位に入賞したロベルト・ストレイトを始め、伊沢拓也、石浦宏明らが開幕戦から上位を争う戦闘力を示した。新王者松田も安閑としてはいられない開幕ではある。

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