SCORE CARDBACK NUMBER

「永遠のボクサー」たちが、歌舞伎町を揺らした夜。 

text by

前田衷

前田衷Makoto Maeda

PROFILE

posted2006/11/23 00:00

 現代のスピードスター、フロイド・メイウェザーの華麗なかわしのテクニックを堪能した後、その足で向かった先は新宿歌舞伎町のビル7階。「ザ・おやじファイト」と題した、出場資格35歳以上、公式戦には出られない中年男たちのスパーリング大会を覗くためだった。

 この手の企画は当たる。甲子園に出られなかった昔の球児たちの大会が盛況だったというが、「俺は永遠の現役ボクサー」と信じているとしか思えない中年のボクシング・ジャンキーも結構いる。キャパシティ約500席の小会場「新宿フェイス」にあふれんばかりの観客が詰めかけるなか、1試合3分2ラウンド、計27組のスパーリングが延々と続く。スパーとはいえヘッドギアーを着けた真剣勝負。審判が採点し勝敗もつける。これがないと彼らもここまで熱中するはずがないだろう。

 出場者の中には30歳の定年ルールに引っ掛かりライセンスを手にできなかった人たちもいるが、一方で元プロボクサーも少なくない。元チャンピオンの寺地永や、カズ有沢も登場。寺地さん(42)は現在京都でジム会長に納まり、城陽市の市会議員も務める。この日は現役時代と違って試合報酬はなく、逆にノルマのチケット10枚を売りさばいた。しかも旅費は自腹。それでも「出場してよかった。久々に試合の緊張感を味わいましたよ」と満足そうだった。実は寺地議員、本気で現役復帰を模索中で、日本ではルールの壁が厚いが(5年以上実戦から遠ざかると復帰できない)、今後は海外に活路を見出すとか。

 一部のトリを務めたのは、ジム会長、高橋保久(58)と映像製作会社社長、三村弘(49)の合わせて107歳対決。現役時代はチャンピオンに届かなかった元プロ同士だが、これがまさに看板通りの元気なおやじ対決。場内を沸かす攻防の末、3―0判定勝ちを飾った58歳会長曰く、「きのうもジムで10回スパーしたし、どうってことないね」とケロリとして言ったものだ。

 試合経験のないおやじも多く、不測の事態も心配されたのだが、「みな思った以上に体が締まっていたから事故も起きにくい」とは観戦した元世界王者・柴田国明さん。この日の晴れ舞台目ざして猛練習しただけの成果はあったようだ。

ページトップ