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謙虚で温厚な「怪物」が
クリッパーズの呪いを解く。
~NBA開幕後の注目プレーヤー~ 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

PROFILE

photograph byNBAE/Getty Images

posted2009/11/03 08:00

豊富な運動量とリバウンドの強さを武器に、オクラホマ大時代には主要タイトルを総なめに

豊富な運動量とリバウンドの強さを武器に、オクラホマ大時代には主要タイトルを総なめに

 ブレイク・グリフィン(ロサンゼルス・クリッパーズ)も、決して完璧ではない。

 今年6月のNBAドラフト1位指名選手にして、今季の新人王最有力候補。サイズ、運動能力、スピード、向上心、闘争心と、偉大な選手になるために必要な要素すべてに恵まれた有望選手だ。さらに謙虚で先輩を敬い、家族思いとくれば、彼のことを悪く言う人はいない。

ドラフト会議でレイカーズ色の紫のシャツを着る大失態。

 そんなグリフィンだが、実はプロ入り最初の舞台で大きなミスを犯していた。ドラフト会議のためにオーダーメイドで作ったスーツ一式のシャツの色に紫を選んでしまったのだ。紫といえばクリッパーズと同じロサンゼルスを本拠地とする人気チーム、レイカーズのチーム・カラーなだけに、「もしかしたらレイカーズに入りたいという意思表示か?」などと邪推されてしまった。

 当のグリフィンはそんなことは思いもよらなかったらしく、指摘されると慌てて、「紫を選んだのは単なる偶然で、レイカーズの色だというのは考えもしなかった。二度と同じミスは犯さないようにします」と必死に弁明していたのが微笑ましかった。

「僕は自分で道を作りたい」──低迷するチームに光明を。

 オフコートではいつも謙虚で温厚だが、コート上ではサイズの大きな相手とも躊躇することなく身体をぶつけあい、果敢に攻撃をしかける。抜群の跳躍力とハッスルプレーで、リバウンドを奪い、ダンクを決める。プレシーズン試合で対戦したサンアントニオ・スパーズのグレッグ・ポポビッチ・ヘッドコーチをして「怪物」と言わしめたほどだ。

 才能もあり、性格もいいだけに、毎年のようにプレイオフ圏外で低迷し、一部からは「呪われたチーム」とすら言われるクリッパーズに入ったことに同情する声もある。しかし、当のグリフィンはまったく気にする風もない。

「(呪いについて)みんなから言われるので僕も調べてみた。でも信じるに足りるほどの証拠は出てこなかったよ」と笑みを浮かべる。さらにこうも言う。

「一番人気があることに飛びつくのがいつもいいとは限らない。それより、僕は自分で道を作りたいんだ」

 クリッパーズにとっては、この開拓者精神こそが一番必要としていた資質なのかもしれない。

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