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「ホンダ8耐撤退」報道の
正しい読み解きかた。 

text by

遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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photograph bySatoshi Endo

posted2009/02/12 00:00

「ホンダ8耐撤退」報道の正しい読み解きかた。<Number Web> photograph by Satoshi Endo

 世界同時不況の二輪レース界への影響は、予想以上の広がりを見せている。1月上旬にカワサキがモトGPへの参戦中止を表明し、下旬には「鈴鹿8耐にホンダワークスチーム参加せず」というニュースが駆け巡った。

 それに対しホンダは、「ワークスチームとしての参戦は行わないが、ワークスマシンをプライベートチームに供給して参加する」と表明し、「撤退」と書いた一部報道を否定した。

 ホンダにとって四輪レースの象徴はF1、二輪レースの象徴はモトGPである。しかしマスコミは「F1に続き8耐も撤退」と書き立てた。その反応は、日本の二輪レースの最高峰に位置するのが、一般的には「8耐」であることをあらためて感じさせるものだった。

 8耐の人気が頂点を極めたのは、'80年代から'90年前後。以後、世界のトップライダーを招集できたのは'00年前後までだが、最近はとんとビッグネームの選手たちの出場がない。日本のメーカーにとって、8耐よりモトGPのタイトルを獲得することがもっとも重要な課題となったためだ。選手たちも過酷な8耐を嫌い、参加するとしても高額な契約金を要求するようになり、日本のメーカーの8耐離れが始まった。

 それでも、数人の選手が8耐に参加することから、モトGPとスーパーバイクのプロモーターたちは、7月最終週の8耐に配慮してレース開催の日程をずらしてきた。しかし今年は、モトGPとスーパーバイクが8耐と同じ日程でレースを開催する。

 ホンダが8耐参戦の規模を縮小したのは、経費削減だけでなく、WGPとスーパーバイクから有力選手を招集できなくなったことが大きな理由なのだ。いまやレース界の撤退騒動のすべてが、世界同時不況と安易に結び付けられてしまう。だが、モトGPとスーパーバイクの日程が重なったのは不況とまるで関係がない。ホンダとヨシムラ・スズキを除き、8耐に熱心でなくなった日本のバイクメーカーの世界への影響力の低下が原因であり、それはすなわち日本のレース界の地盤沈下に他ならない。

 日本中に浸透した国内最大の二輪レースイベント8耐。それを見捨てた代償は、決して小さくはないはずだ。

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