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0.5ポイント制ルールが引き起こした事件。 

text by

布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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photograph byShuntaro Abe

posted2005/03/17 00:00

0.5ポイント制ルールが引き起こした事件。<Number Web> photograph by Shuntaro Abe

 判定がアナウンスされると、場内からは一斉にブーイングが飛んだ。舞台は『K―1 WORLD MAX2005〜日本代表決定トーナメント〜』(2月23日・東京)。問題となったのは、1回戦で組まれた小比類巻貴之(チームドラゴン)と安廣一哉(正道会館)の一騎討ちだ。筆者の目にも延長戦は明らかに安廣が押しているように映った。しかし判定は2―1で小比類巻。観客が騒ぐのも無理はなかった。それでなくても最近のK―1はジャッジで揉めることが多い。昨年12月のK―1ワールドGP決勝戦では複数の外国人選手から不満が続出。1回戦で武蔵に敗れたレイ・セフォー(ニュージーランド)は「努力だけでは報われない何か別の力が働いている」と不満を露にした。

 そうした意見に対してK―1側も無視を決め込んでいるわけではない。むしろ真摯に対応しているように見受けられる。ワールドGPのジャッジ問題についてはオフィシャルサイトを通じて、なぜそのようなジャッジになったかを事細かに説明している。昨年7月の魔裟斗 vs.ブアカーオでは明らかなミスジャッジがあったとして誤審をした審判らに処分が下された。しかし、その後もジャッジ問題は噴出しているのだから、根本的に何かが間違っているような気がしてならない。小比類巻 vs.安廣の判定を解読してみると、複雑な「0・5ポイント制ルール」に行き着く。

 現行のルールでは本戦で0・5ポイント差の場合、それは優越の対象とはならず延長戦に突入する。小比類巻 vs.安廣でも本戦は2人のジャッジが小比類巻を支持したが、いずれも0・5ポイント差。そこで延長戦になったわけだが、ここでジャッジは安廣のアグレッシブな姿勢を点数として評価しなかった(筆者は評価したいが)。K―1では延長戦でも差がないと判断した場合、1Rからの全体の流れを考慮して優劣をつけるマストシステムを採用している。そう考えると、小比類巻の勝利は矛盾していない。もっとも、このあたりの仕組みは観客に浸透していない。むしろ延長戦の判定は延長の試合内容だけでと考える人の方が多い。本戦では切り捨てられ、延長戦では切り上げられるルールが招いた悲劇。わかりやすさと激しさを融合することで格闘技界の盟主となったK―1が、わかりにくいジャッジで観客の心を惑わせてはいけない。

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