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世界陸上本番で、奥谷はどこまで行けるか。 

text by

藤山健二

藤山健二Kenji Fujiyama

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posted2006/12/21 00:00

 来年8月に大阪で開催される世界陸上選手権の男子マラソン代表に、奥谷亘(SUBARU)が内定した。奥谷は3日の福岡国際マラソンに出場。2時間8分49秒で4位に入り、日本陸連が定めた「2時間9分30秒を切って日本人1位」という選考基準をクリアした。奥谷にとっては2大会連続の代表切符で、レース後には早くも「粘って上位に入りたい」と、14位に終わった前回ヘルシンキ大会の雪辱を誓った。

 五輪と違い、世界陸上には男女とも5人ずつ出場することができる。男子はドーハのアジア大会と来年2月の東京、別府大分、3月のびわ湖毎日が選考レースに指定されており、びわ湖後の日本陸連理事会で正式に承認される。奥谷は男女を通じて最初の代表内定者となったが、有力候補が目白押しの女子に比べ、男子は残念ながら本番での苦戦が予想されている。今回の福岡でも日本勢は28kmで藤田敦史(富士通)と尾方剛(中国電力)が相次いで脱落。32km過ぎには諏訪利成(日清食品)も遅れ、最後に残った奥谷も5km14分台のハイペースについては行けずに、34km手前で置いていかれた。優勝したゲブレシラシエ(エチオピア)と奥谷のタイム差は、2分近くある。まともに戦っては到底勝ち目はなさそうだが、可能性がまったくない訳ではない。真夏の大阪は、外国選手が想像している以上に蒸し暑くなるからだ。

 暑さには慣れているアフリカ勢も、日本特有の高湿度には弱い。選手の健康状態に考慮し、本番のレースは午前7時スタートの予定になっているが、それでもゴール時には軽く30度を超えているだろう。暑さと湿度で前半からスローペースの展開になれば、スピードで劣る日本勢にもチャンスが出てくる。特に「スピードでは勝負にならない。自分には粘るしか特長がない」という奥谷には願ってもない環境と言っていい。兵庫県出身で大阪の暑さは知り尽くしているし、前回大会を経験しているのも強みだ。

 もちろん、ただ粘るだけでは入賞が精いっぱいで、表彰台には上がれないだろう。1日60kmの練習をこなす抜群のスタミナに、ここからどうスピードを上乗せしていくか。残り8カ月の進化次第では、遅咲きの31歳が本番でも番狂わせを演じる可能性は十分ありそうだ。

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