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遅れてきた逸材、成瀬善久の反骨心。 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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photograph byNaoya Sanuki

posted2007/08/09 00:00

遅れてきた逸材、成瀬善久の反骨心。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

 2年前に日本一となり、「最強」と言われたロッテ投手陣。しかし今季は、前半戦で9勝をあげた小林宏之以外は本来の力を発揮できていない。そんななか、バッテリー担当の袴田英利コーチが「あいつが出てこなかったらと思うとゾッとする」と評したのが、4年目の成瀬善久である。

 清水直行、渡辺俊介、小野晋吾、久保康友に小林宏と、ローテーション投手が右腕ばかりだったロッテにとって、待望の先発左腕。今シーズンは、オフの間に走り込んだ成果が出た。里崎智也の強気の内角攻めが、成瀬の投球パターンにマッチしたこともあって、開幕からあれよあれよと勝利を重ねる。前半戦終了時点で8勝1敗、防御率部門では、パ・リーグ1位となる1・65の成績をあげたのだ。

 もともと成瀬は、中学時代から知る人ぞ知る存在だった。全国中学生大会では当時の記録となる1試合15三振を奪い、栃木・桑中を3位に導く。その後、横浜高に進み、3年の春にセンバツ準優勝。しかし、小倉清一郎部長が「2、3年我慢すれば必ずローテーション入りする度胸と技を持っている」と太鼓判を押した逸材も、怪我の多さもあって地元横浜ベイスターズからは指名されなかった。同じ神奈川県出身の右腕、内竜也(川崎工)を1位で獲得したロッテが、「左腕は役に立つ」という理由で6位指名しなければ、いまの活躍はあったかどうか。

 ハングリー精神は旺盛だ。昨年暮れ、3年目で一軍デビューを果たした成瀬に、バレンタイン監督は一軍定着するまで寮生活することを課した。それは本人も望むところだった。栃木県の団地で暮らしている両親に、一軒家を建ててあげるまで、ぜいたくはやめようと心に決めていたからだ。

 反骨心もある。昨シーズンの交流戦で、初登板初先発初勝利をあげたのは、自分をフッた横浜に対してだった。そして、実績で先を越されていた高校の後輩、涌井秀章と対決した5月15日の西武戦では、「後輩に負けるわけにはいかない」と7回3分の2を1失点に抑えて投げ勝った。

 同期のライバル、内に一歩先んじ、後輩にも勝った。今夏、初めてのオールスター出場を果たした成瀬は、第2戦で2回無失点の好投をした後、「もっと上を目指したい」と胸を張った。

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