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好調・森上亜希子、“モテモテ”ぶりの秘密。 

text by

吉松忠弘

吉松忠弘Tadahiro Yoshimatsu

PROFILE

photograph byHiromasa Mano

posted2005/09/01 00:00

好調・森上亜希子、“モテモテ”ぶりの秘密。<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

 人間、何でもできるというのは便利なものである。子どもの時、勉強もでき、スポーツも万能、そして美男美女なんて友人はモテモテだった。しかし、モテるのも大変なようで、あっちを立てればこっちが立たずといったモテない人には分からない贅沢な悩みがあったようだ。

 森上亜希子は、この夏、テニスファンからモテモテ状態だったという。フェド杯世界グループ2部プレーオフの対ブルガリア戦で、日本のNo.1としてカラタンチェバ、マレーバの格上選手を破ったことで波に乗った。個人戦のツアーでも、米シンシナティで自身ツアー初の決勝進出。続く4大大会に次ぐレベルのサンディエゴの大会でもベスト4に進み、杉山愛との日本選手対決で敗れた。世界ランクは、初めてトップ50となり、自己最高位を更新している。米国発信の記事を読むと、森上のプレーが、多くのファンを魅了したと書かれていた。

 米国の2大会を実際に見ていないので、どのようなプレーだったのかは分からない。しかし、この1年ほど、森上は悩んでいたことだけは確かだろう。ジュニアからプロになった当初、森上はハードヒット一本槍。一か八かのようなテニスで、なかなか勝てなかった。そこから経験を積み、緩急を覚えたことで、一気に世界ランクを上昇させトップ100入りを果たした。ただ、レベルが上がれば上がるほど、球種、コース、ショットなどの選択の幅が広がる。どこで何をどのように使うのか的確な判断が難しくなり、少しずつ森上の歯車は狂いだした。この1年、彼女のプレーを見ていると、何がしたいのか分からないといった感じを抱いた。波に乗ったフェド杯の勝利でさえも、そのように見えた。

 上位進出のために、プレーの幅を広げることは必要不可欠だ。しかし、選択肢が増えることは逆に迷いを生むことにつながる。ひとつのことしかできなければ、迷う必要はない。ただ、それでは、ある一定のレベルまでしか行けない。この壁で、今まで多くの選手がはね返されてきた。森上も、この壁の前で苦しんでいた。しかし、結果だけを見れば、ここに来て、森上の歯車はようやくかみ合ったと考えていいのだろう。このモテモテ状態が、できるだけ長く続くことを期待している。

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