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BSを得た新天地で中野の巻き返しに期待。 

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遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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photograph bySatoshi Endo

posted2007/11/29 00:00

BSを得た新天地で中野の巻き返しに期待。<Number Web> photograph by Satoshi Endo

 中野真矢の'07年は、自身はもちろんのこと、周囲の期待をも裏切る散々なシーズンだった。

 カワサキからチャンピオンメーカーのホンダへ移籍し大きな期待が寄せられたが、結果は10位を最高位に総合17位。サテライトチームの「コニカミノルタ・ホンダ」で開発が遅れたRC211Vを駆り、今季大苦戦のミシュランタイヤを使う中野にとっては厳しい1年となった。

 苦戦した最大の要因は、シーズン当初から車体のセットアップが決まらず、ニューパーツが投入された後半戦も悪い流れを脱却できなかったところにある。その点について中野は、「バイクの現状に合わせて乗り方を変えようと努力したが、そうすると自分の良い部分が生きなくなってしまう」と語っていた。

 彼の語る良い部分とは、深いブレーキングポイントと高いコーナリングスピードにある。しかし、ブレーキングポイントを深くすることでフロントの挙動が乱れ、それをサスペンションのセッティングで抑えると、今度はコーナーでチャター(振動)が出るといういたちごっこが続いた。それを緩和するため、クラッチとリヤブレーキ操作に、これまで中野が使わなかった操作が要求された。テクニックにはそれぞれ個性があるが、それを行なうと中野はリズムに乗れなかった。

 カワサキ時代も同様の問題を抱えていたが、それを補っていたのがブリヂストン(BS)タイヤだった。中野は来季、ホンダの強力なバックアップで、BSを使うホンダ・グレッシーニへの移籍が決まった。最終戦後に行なわれた注目の初テストは、予想以上に順調だった。

 「まだ自分の走りには戻っていないけれど、BSになったことでかなり安心感がある。やっぱり、BSは自分の乗り方に合っていると思う。チームの力も感じる。同じバイクなのに、かなり印象は違った」

 久しぶりに見せた笑顔。タイヤの変化と、ワークスチームに匹敵するホンダ・グレッシーニの高いチーム力に、中野はもちろん周囲も期待している。今季、どん底を味わった中野。その苦しさ、厳しさが、来シーズンに活きることは間違いない。

 「今年はみんなの期待を裏切った。このままでは終われない」

 まさに、雪辱のシーズンである。

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