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実に後味の悪い、大どんでん返し。 

text by

大串信

大串信Makoto Ogushi

PROFILE

posted2007/12/28 00:00

 チャンピオン決定戦となった11月18日の全日本選手権フォーミュラ・ニッポンは、レースそのものは非常に緊迫感溢れる展開となって、観客を楽しませた。だが、思いがけないどんでん返しが起きて最終的には実に後味の悪い結末となってしまった。

 シリーズチャンピオンの可能性はブノワ・トレルイエ、小暮卓史、松田次生の3人にあった。レースでは小暮が猛然と首位を突っ走り、トレルイエがそれを追うという展開になった。小暮に優勝を許しても獲得ポイントで有利なトレルイエは2位に入賞すればチャンピオンになれる。ところがトレルイエはロイック・デュバルと絡んで接触、リタイアした。首位小暮はそのまま逃げ切って優勝、3連勝を遂げた小暮がトレルイエを逆転してシリーズチャンピオンを獲得した。

 小暮は大群衆に囲まれて歓喜の表彰を受ける。ファンもそれを取り巻いて祝福を贈った。そしてシーズン終了のセレモニーがあり、記者会見があり、小暮は新王者としてこれらの場の主役を務め、これで'07年シーズンのF・ニッポンは大団円を迎えたはずだった。

 ところが陽が落ち観客席のファンも帰路についた頃になって事態がひっくり返った。車体底面にある走行時車高規制板が規定以上に削れていたため車両規則違反を問われ、なんと小暮に失格の正式裁定が下りてしまったのだ。この結果、小暮は無得点となり、王座は繰り上がって4位になった松田のものと決まった。ファンのほとんどは、帰宅後に自分の見てきたレースの結果が変わっている事に気づくことになった。

 確かに規則をその通り遵守するならばレース後の車検が終わるまではあくまでも仮の順位であり、ファンの前でおこなわれるのも「仮表彰」である。しかし、今回のような進行はあまりにも杓子定規だ。

 小暮車の違反は故意のものではないし、わたしは仮順位のまま、せめて日を置いてから何らかの形で小暮の失格を発表し正式順位を改めるべきだったと思う。それが、現場まで足を運んでくれたファンへの礼儀だろうし、イベントとしての演出というものだと思う。これからの日本のレースには、こうした規則を超えた融通を利かせる権力を持ったイベント・ディレクターが必要ではないか。

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