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1RKOを続ける男の
真価が問われる一戦。 

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前田衷

前田衷Makoto Maeda

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posted2005/09/29 00:00

 「KOは狙ってできるものではない」という人がいる。他方「狙わなければできない」という全く異なる説もあって、結論は出ない。相手によりけりなのだろうが、それでもエドウィン・バレロ(23歳)の口からこんな言葉が吐かれたのには驚いた。

 「初回KOは狙っていない。KOを意識して戦ってはいない。判定でもKOでもいい、ただ勝ちたいだけだよ」

 なんと意外なことを。このベネズエラのS・フェザー級ホープは'02年にデビュー以来15度リングに上がり全試合KO勝ち、しかもすべて1R以内で決着をつけるという驚異の記録の持ち主なのだから。

 連続初回KO勝ちの世界記録はワンラウンド・ホーガンの「18連続」だが、デビュー戦からの記録に限定すると、このバレロの15連続が最多となる。本人も「KOを狙わない」(本気なのかね)、と言いつつも、「結果には満足している」と言っている。

 この種の連続KOには眉唾ものが少なくない。“噛ませ”と言われる弱い相手と試合を組めば記録を作ることも可能だからだ。特に3分以内のKOを立て続けに記録することは人間業とは思えない。世界王者級に記録保持者はいなかった。常に速戦即決モードで戦ったタイソンも、初回の連続KOは「6」が最多なのだ。

 ではこのバレロはどうか。9月25日のダブル世界戦の前座に登場するが、主催の帝拳はバレロの相手にタイや韓国から探す代わりに、メディアを通じて異例の「公募」を試みた。「1回でKOされなかったら、ファイトマネー以外に100万円、試合に勝てばさらに100万円進呈する」という条件で。これに唯一名乗りを上げたのが阪東ヒーローだ。敢闘型だけに試合が面白そう。

 バレロは試合の1カ月も前に来日し、帝拳ジムで稲田千賢や本望信人らとスパーを続けている。記録からは怪物的なファイターを連想するが、練習で見る限り、100戦近いアマ歴にふさわしい技巧派ぶりを発揮していた。本番では速戦即決型に豹変するのか。

 阪東が初回で倒されると、用意された賞金100万円はバレロが手にする。「日本のファンが望むなら、ホームラン(KO)を狙ってもいい」と、前言を翻したバレロ。日本デビュー戦が待たれる。

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