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初入賞をもたらしたアグリと琢磨の好勝負。 

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今宮純

今宮純Jun Imamiya

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photograph byHiroshi Kaneko

posted2007/05/31 00:00

初入賞をもたらしたアグリと琢磨の好勝負。<Number Web> photograph by Hiroshi Kaneko

 この1ポイントには価値がある。プライベートチームが入賞できたのは、'06年アメリカGPのトロロッソ8位以来のことだ。スペインGP、スーパーアグリの佐藤琢磨はチャンピオンチームのルノーG・フィジケラを相手に接戦を挑み、59周目に逆転に成功すると、巧みなブロックで守りきった。

 琢磨自身は'05年ハンガリーGP8位入賞(B・A・Rホンダ)以来2年ぶり、日本人ドライバーとしては最多の13回目になった。快挙といっていい。スーパーアグリチームは参戦2年目、なみいる自動車メーカー系のワークスビッグチームを相手に22戦目で初入賞をやってのけた。

 現ホンダ、旧B・A・Rチームを例に出せば、'99年参戦初年度はノーポイント、ホンダエンジンを得た2年目の開幕戦に17戦目での初入賞を果たした。もうひとつ、イタリアン・プライベートチーム、ミナルディは'85年初参戦から4年目の'88年デトロイトGPで初入賞、52戦目のことだった。どちらのチームも戦う時代は違っていても、それだけの年月、レース数を必要とした。

 スペインGPは最近では珍しいといっていい激しいサバイバルゲーム展開で、完走台数は14台に落ち込んだが、こういうときこそプライベートチームにとっては入賞圏が目の前に広がる。チャンスをつかむかつかめないか。ドライバーだけでなく、メカニックたちのピットワーク、エンジニア達のレース・ストラテジーなど、F1スポーツにおける「総合力」がかかってくる。

 今年スーパーアグリのニューマシンSA07は飛躍的に戦闘力を高めたが、スペインGPまでの3戦にはピットワークの小さなミスや、レースペースの落ち込み(エンジニア達のセッティングの誤算)といったことがあり、入賞圏に迫りながらも最高12位という結果に終わっていた。

 ヨーロッパラウンドまでの約1カ月間、彼らはそれを反省し、持っている戦力をフルに活かしきるため、バルセロナ直前テストでは3日間に250ラップ(スペインGPほぼ4レース分)を走りこんだ。マシンの信頼度はここで確認され、フェラーリやマクラーレンには及ばずとも、自分達が中団のど真ん中にいる速さも分かった。1.231秒差の初入賞、F1らしいぎりぎりの「勝負」だった。

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