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ドイツサッカー協会は日本をどう分析したか。 

text by

木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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photograph byShinya Kizaki

posted2007/05/03 00:00

ドイツサッカー協会は日本をどう分析したか。<Number Web> photograph by Shinya Kizaki

 W杯についておもしろい分析本を手に入れたので紹介したい。ドイツサッカー協会が昨年のW杯を分析して刊行した「Analyse Weltmeisterschaft

2006」という104ページの非売品で、今回ドイツサッカー協会が特別に提供してくれた。この場を借りて感謝したい。

 この本が、すごいのである。出場32カ国の特徴や短所を徹底分析。たとえば日本についてはこんなふうに記されている。

 「3バックの左右の2人(中澤と坪井)がサイドをカバーしないため、サイドバックの三都主と加地は長い距離を走らなければいけなかった」

 「守備のときポジショニングはいいのに、受身過ぎる」

 「2トップはほとんどポジションチェンジせず、トップ下の中村は水平にしか動かなかった」

 日本サッカー協会もW杯の分析本を出したが、「(オーストラリア戦は)悲劇としか言いようのない負け方」「ブラジルが高いレベルで戦ったとき、太刀打ちできなかった」といった情緒的な分析になっており、それに対してドイツの本は具体的な戦術の改善点が書かれている。どちらが優秀かは言うまでもないだろう。

 ちなみにお隣の韓国は「プレーを慌てすぎ」「試合のテンポを変えられない」と欠点を指摘されつつも、「強いチームスピリットとアグレッシブな姿勢」「優れた俊敏性と運動量」など、日本よりははるかに高い評価を受けていた。

 また、イタリア優勝の秘訣は、“安全第一”のモットーにあるとした。

 「相手からボールを奪ったら、すぐに選手はワイドに開く。そして攻撃の第1オプションはロングボール。守備のときはDFラインを低くし、ゴール前に密集させる」

 本書のハイライトは、ドイツW杯で見られた新たなトレンドだ。「ゲームメイク力のある選手をサイドに置く」「ゆっくりとした安全なパスから、急にテンポアップして攻める」。今後の日本代表にも大いに参考になる知識だろう。オシム監督はダイレクトパスをつなぐサッカーを目指しているが、それだけだと今回の分析によれば「単調」ということになる。

 早く日本の選手がオシムの基礎を理解して、応用できる段階に進むことを期待したい。

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