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真の王者を求めるなら団体の壁などいらない。 

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布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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photograph byKoji Fuse

posted2005/05/12 00:00

真の王者を求めるなら団体の壁などいらない。<Number Web> photograph by Koji Fuse

 「キックボクシングって、なんで同じ階級の日本チャンピオンが何人もいるんですか?」

 格闘技にちょっと興味を持ち始めた人からよく受ける質問だ。う〜ん、頭が痛い。確かにキック界は多団体が乱立。それぞれが別個に王者を認定している。ちょっと見方を覚えたらキックほど初心者にもわかりやすく面白い格闘技はないのに、その複雑な構造が一般大衆の視線を遮る大きな壁となっている。

 その元凶は各団体ごとに地上波がついた'70年代のキックブーム。テレビ局としたら、団体ごとに囲ってしまった方がプロモートしやすい。結局、当時のキック業界は好視聴率と引き換えに、統一コミッションを作る機会を失ってしまった。ブームが過ぎ去るとテレビ局は相次いで撤退したが、団体ごとに興行を打つというシステムだけは生き残った。

 マニアから見たら当たり前のことでも、世間一般の視線で見ると不思議な世界にしか映らない。最近ではK―1ワールドMAXに出場するキックボクサーを見て初めてキックの存在を知る若い世代も出てきた。そんな現状を打破しようと、最近は団体同士の交流が活発になってきた。3月2日から始まった『MACH55』は主要4団体のバンタム級の日本王者たちが集った画期的な8人制トーナメント。この大会を主催するJ―NETWORKの大賀雅裕代表は「もう団体同士が意地を張り合っている時代ではない」と大同団結を呼びかける。

 また5月からは全日本キックとニュージャパンキック(NJKF)が本格的な交流戦をスタートさせる。もともとNJKFは全日本キックから離脱した複数のジムによって設立された団体。そこで全日本キックと“国交”を開くことはありえないと思われていたが、業界の活性化と選手のモチベーションを高めるために両団体は過去の遺恨を捨て去った。

 さらに6月18日からは新興プロモーションのIKUSAが60kg級の日本一を決める『IKUSA GP』を開幕する。このトーナメントに次世代のエースをふたりも送り出す全日本キックの宮田充興行本部長は言った。「せっかく交流するんだったら、足し算ではなく、掛け算にしていかないと意味はない」。いつまでも“お山の大将”で満足してはいられない。

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