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高山勝成が迎える「自己証明」の戦い。 

text by

前田衷

前田衷Makoto Maeda

PROFILE

posted2005/08/04 00:00

 全くの無名から一躍世界チャンピオンとなった“浪速のシンデレラ・ボーイ”高山勝成(22歳)。おそらくボクサー仲間でいまもっとも羨望と嫉妬の対象になっているチャンピオンに違いない。

 同じ新チャンピオンでも、バンタム級の長谷川穂積は「あのウィラポンに快勝した」ことですでに一定の評価を得ているが、ミニマム級の高山の場合は違う。よく聞く「もしイーグル京和が肩を痛めなかったら、高山のチャンピオンもなかったろう」は仮説だが、説得力がある。イーグル(26歳)は昨年12月メキシコのイサク・ブストスを相手にした防衛戦の3回に突如右肩を骨折し、4回棄権TKO負けでWBC世界ミニマム級王座を明け渡した。アクシデントが起こるまでは完全に相手をアウトボックスしていただけに、同情を買ったのは初黒星を喫したタイ人ボクサーである。

 一方の高山は今年4月新王者ブストスを大阪に迎え、文句ない判定勝ちで王座に就いたのだが、イーグルがブストスに負けていなければ、高山はまだ世界戦のリングに立つこともなかったろう。ブストスというラッキー王者に挑戦できた幸運──これがまた同業ボクサーの嫉妬の対象となっているわけである。

 普通新王者の初防衛戦は、強敵相手の「指名試合」を先延ばしにして「自由選択」の相手を選ぶのが興行的習慣になっている。今回も一部でそんな動きがあったが、高山陣営はこれをきっぱりと断り、あえて義務付けられているイーグルとの対決を選んだ。今度勝てば自他ともに文句なしの王者だ。8月6日後楽園ホールで行われる初防衛戦は高山にとってまさに「自己証明」の戦いである。

 元々高山は気の強い頭脳的なボクサー・ファイターとして評価を得てきたが、似たタイプの先輩イーグルのテクニックを若さと勢いで打ち破ることができるのか。過去の実績からみても、もし高山が勝てば王座獲得戦以上の番狂わせといわれるだろう。中には「試合のカギを握るのは、イーグルの肩。完全復調していないままリングに上がれば、高山が勝つ」という声もある。だが、イーグルの挑戦を撃退しても「肩が……」などと言われてはたまらないと、高山は「万全で来て下さい。言い訳はなしにしましょう」と呼びかけている。

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