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M・ジョーンズに実刑。ドーピング禍は続くか。 

text by

藤山健二

藤山健二Kenji Fujiyama

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posted2008/01/31 00:00

 禁止薬物使用などに関する偽証罪に問われていた陸上女子短距離のマリオン・ジョーンズ被告が、米ニューヨーク連邦地裁から禁固6カ月の実刑判決を言い渡された。判決によると、ジョーンズ被告は米国の健康補助食品会社「バルコ」のスポーツ選手への禁止薬物提供疑惑に絡み、'03年の連邦検察官の捜査に虚偽の供述をした。また、私生活のパートナーだった男子100mの元世界記録保持者(ドーピング違反で記録は抹消)ティム・モンゴメリの小切手詐欺事件でも'06年に偽証した。同被告は昨年10月の公判で偽証を認め、「クリア」と呼ばれる筋肉増強剤などの使用を告白。自ら罪を認めて引退することで情状酌量を求めたが、裁判長は「被告は重大な2つの偽証罪に問われており、一度だけの間違いではない」と実刑判決を言い渡した。

 ジョーンズ被告は'00年のシドニー五輪で100、200mとリレーで優勝するなど5つのメダルを獲得したが、すべて返却している。今回有罪が確定したことで、これまで手にした賞金や出場料はもちろん、複数のスポンサーから契約金の返還を求められるのは確実で、名声だけでなく、財産すべてを失うことになりそうだ。禁断の薬物に手を出した代償は、あまりにも大きかった。

 '97年の世界選手権で初めて金メダルを獲得して以降、何度もジョーンズ被告を取材する機会があったが、明るく快活で、かつてのベン・ジョンソン(ソウル五輪で失格)のようなギラギラした目つきもしていなかった。薬に手を出さなくても世界の頂点に立てたはずなのに、なぜこんなことになってしまったのか。塀の中での6カ月間は、自問自答の日々になるに違いない。

 いずれにしても、今回の実刑判決で、薬物汚染に対する米当局の厳しい姿勢がはっきりした。ジョーンズ被告に実刑判決が下されたことで、同じく連邦大陪審での偽証罪で起訴されている米大リーグ、元ジャイアンツのバリー・ボンズ外野手にも同様の厳しい判決が出るのではと予想する声もある。閉廷後、報道陣の前で口を開いたジョーンズ被告は「私の過ちから何かを学んでほしい」とコメントした。毎度繰り返されるトップ選手のドーピング違反。もうこれ以上、転落の人生は見たくない。

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