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F・ニッポンの新たな発展に期待する。 

text by

大串信

大串信Makoto Ogushi

PROFILE

posted2008/09/25 00:00

 国内最高峰のカテゴリーとして、全日本選手権フォーミュラ・ニッポンが、自らをF1へのステップアップカテゴリーと位置づけたことについて、長年にわたって反対意見を述べてきた。

 F1の権威を借りれば手っ取り早く振興できるという着眼は間違ってはいない。だが、それではいつまでもF1に追従しなければならない。結局、わたしが怖れた通り、ファンはF・ニッポンをF1に行けない選手の吹きだまりと見なすようになってしまった。

 確かにF1は世界最高峰のレースではある。だが一方でF1を頂点としたステップアップのルートが、いつしか帝国主義的巨大集金システムと化してしまったことに気づいている人間は少なくあるまい。そのシステムの中に身を置くためには法外な持参金を用意するか、それに相当する支援体制を築くしか道はない。F1ドライバーは優れた能力を持っている選手ではある。だが優れた能力を持っていればF1ドライバーになれるとは限らない時代になったのだ。

 こうした状況の中、F1帝国に加われなかった、あるいは加わらなかった日本選手を単なる敗北者と片付けるわけにはいかない。彼らの能力を存分に活かし、ファンが彼らの活躍を眺めて楽しむための場を確立する必要がある。それには国内モーターレーシング界に、F1と対峙する誇りが必要だ。

 来季、F・ニッポンは新しい車両規則を導入するのをきっかけに、大きな変身を遂げようとしている。レースを運営する日本レースプロモーション(JRP)は、従来のF1追従主義を捨て、来季のF・ニッポンを日本独自のレースと位置づけた。待って久しい覚醒である。

 事実、試走を開始した来季用のF・ニッポン車両の規格は、現在の車両に比較して性能面で一段階進化したものだ。ここまで踏み出すならば、エンジンだけではなく車体も、日本のレーシングテクノロジーによって開発された国産車にすれば、日本独自のレースとしての誇りもより高まったはずとも思うが、それは次の段階に望むこととしよう。今は、日本独自のレースとしてF・ニッポンが繁栄することを祈るばかりである。

 というわけで最終回である。長い間のご愛読に御礼申し上げる。

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