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8年の歳月は、日本に何をもたらしたのか。 

text by

永井洋一

永井洋一Yoichi Nagai

PROFILE

photograph byNaoya Sanuki

posted2005/03/31 00:00

8年の歳月は、日本に何をもたらしたのか。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

 初めてこのコラムを書いた410号で、私は'97年元旦の天皇杯で3―0と勝利したヴェルディ川崎(当時)の多彩な攻撃を分析し、同時に'96年アジアカップで苦戦した日本代表の個人の突破力不足を嘆き、イランの1対1の強さを評価した。2回目の412号では、ユース年代の足元ばかりのプレーを批判しつつ、当時、桐光学園の生徒だった中村俊輔の非凡な才能に期待した。

 あれから8年の歳月が流れた。今年の元旦、ヴェルディはかつての輝きを再び見せ、日本代表は昨年のアジアカップで成熟した闘いで優勝、特に玉田圭司はすばらしい突破力を披露してくれた。そして日本代表は今、当時と変わらぬ個人能力の高さを誇るイランと闘わんとしている。アウェイの決戦の鍵を握るのが、セリエAプレイヤーに成長した中村俊輔だ。

 サッカーの世界は日々進歩するが、個の成熟とチームの総合力の融合というテーマは不変である。例えば今季のJ2開幕戦、ヴァンフォーレ甲府対コンサドーレ札幌の一戦。甲府のコレクティブな成熟度は高く、終始、試合を支配したが結果は2―2のドロー。甲府が勝利を手にできなかった原因は、勝負所での「決め手」不足である。監督・コーチはチームを訓練することはできるが、試合を決める才能を生み出すことはできない。だから最後は、そういう選手を置ける力を持っているチームが勝つ。国レベルでも同じことだ。あるレベルまでは指導者の手腕で高まることができるが、それから先は「決め手」を持つ選手を生み出せる力をつけたかどうか、という「サッカーの国力」の勝負になる。

 イラン戦が厳しい戦いになるのは明白だが、アウェイのオマーン戦の時のように、中村が一発の「決め手」を発揮することに期待したい。前がかりなイランDFのウラをつく、玉田の突破力にも期待したい。ダエイやカリミを沈黙させる中澤佑二、福西崇史の守備力にも期待したい。このコラムを始めた当時、コレクティブなサッカーで「健闘」することが限界だった日本代表は、今や、苦しい試合を個人能力で乗り切る期待を持てるチームになった。日本はそういう選手を輩出する「国力」を持つに至った。バーレーンは、ここ一番の試合を前に、監督交代となった。それが彼らの「国力」なのだ。日本代表の最終予選突破を祈願してコラム最終回を終える。

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