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フランス国際柔道で、くっきり分かれた明と暗。 

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藤山健二

藤山健二Kenji Fujiyama

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posted2008/02/28 00:00

 北京五輪で金メダル量産が期待される柔道男子の代表は、4月5、6日の全日本選抜体重別後(重量級は同29日の全日本選手権後)に、過去の実績を加味して選出される。体重別で優勝しても実績で劣っていれば落選の可能性もあるだけに、実績の少ない選手にとっては今の時期が大切になる。その意味で2月9、10日のフランス国際は注目されたが、各階級で明暗がくっきりと分かれた。

 「明」の筆頭は60kg級の平岡拓晃(了徳寺学園職)だ。決勝で昨年世界選手権3位の崔敏浩(韓国)と対戦。技ありと有効4つを奪って快勝した。同級には五輪4連覇を目指す野村忠宏(ミキハウス)がおり、よほどのことがない限り、他の選手にチャンスはない。実際、平岡も胃腸炎を患うほど悩んだ時期もあったが、今では「絶対にやってやる」に変わった。崔との対戦では隅返しで技あり、すくい投げ、小内巻き込み、足払い、そして得意の背負い投げで有効を奪うなど、どんな体勢からでも技が繰り出せるのが最大の強味。12月の嘉納杯東京国際に続く今回の優勝で、野村との最終決戦が楽しみになった。

 一方、「暗」の代表は井上康生(綜合警備保障)だろう。100kg級ではシドニー五輪金メダルなど輝かしい戦歴を誇る井上だが、100kg超級ではこれといった実績がない。アテネ五輪後は“燃え尽き症候群”と故障続きでむしろマイナスイメージの方が強かっただけに、今回の大会は重要な意味を持っていた。しかし、現実は厳しかった。昨年の世界選手権で微妙な判定の末に敗れたテディ・リネール(フランス)と準決勝で対戦し、延長の末に惜敗。ショックを引きずったまま畳に上がった3位決定戦でも屈辱の一本負けを喫し「すべてにおいてダメでした。結果を出せずに申し訳ない」と涙を流した。100kg級では簡単にかかった内股も、自分より体重が重い100kg超級の選手が相手では「必殺技」にはならない。それなら足技や崩し技を多用すればよく、実際に練習ではいろいろと取り組んでいるのだが、いざ試合になると返し技を恐れて内股に頼ってしまう。まさに心と体がバラバラの状態で、北京切符は限りなく厳しくなった。最終選考会まであと1カ月半。あとはもう奇跡を待つしかなくなった。

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