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富士スピードウェイ、こけら落としは五月晴。 

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大串信

大串信Makoto Ogushi

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posted2005/05/26 00:00

 ゴールデンウィークまっただ中の5月3日、富士スピードウェイでスーパーGTシリーズ第2戦が開催された。トヨタが資本参加したのをきっかけに富士スピードウェイは閉鎖されて全面改修工事に入ったため、この日は1年8カ月ぶりのレース開催であった。

 快晴の空の下、落成を待ちかねた大観衆が新生・富士スピードウェイに詰めかけた。この大舞台ではトヨタも負けるわけにはいかない。元々、直線の長い富士はトヨタ勢のスープラに有利とみられており、案の定予選でも上位を独占する強さを見せた。が、その中でも興味深いことが起きた。

 ポールポジションを獲得したのが立川祐路/高木虎之介組だったのだ。実際にタイムアタックをしたのは立川だった。彼はおそらく得意の左足ブレーキングを駆使して曲がりくねった新しい富士の最終テクニカル区間を駆け抜けたのだろう。その結果、ポールポジションで決勝を迎えることになったのだが、パートナーはアメリカ帰りの高木だ。

 かつて富士スピードウェイで満場を沸かせる大活躍を見せた選手とは言っても、長い海外での競技活動を終えて帰国した高木はまだGTレース2戦目、しかも元々フォーミュラカーのスペシャリストで、「動きが鈍く座席が車体中央にないツーリングカーは嫌い」と公言してきた選手である。果たして決勝レースでどんな走りを見せるか、口の悪い関係者の中には「立川の足を引っ張らなければいいが」という声すら聞こえたものだ。

 ところが決勝で、スタートを務めた立川が首位の座を固めた後でクルマを引き継いだ高木は、まったく危なげない安定した走りを見せた。それどころか、混乱しがちなレース中盤、後続車を引き離して状況をより安定させる重要な役割まで果たしたのである。

 これをもって高木の国内レース復帰に勢いがつき、フォーミュラ・ニッポンでも快進撃が始まると断ずるのは早計だが、海外生活の間に彼のドライビングの幅が広がったのは事実だろう。レース後の観客退場に大混乱が生じたのは残念だが、地元静岡出身の高木がトヨタ車で優勝したことは、この世界最新最大級のサーキットにとっては願いどおりの、絵に描いたようなこけら落としとなった。

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