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シュートボクシングの星、宍戸大樹が頼もしい。 

text by

布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

PROFILE

photograph byIsao Kanda

posted2005/11/24 00:00

シュートボクシングの星、宍戸大樹が頼もしい。<Number Web> photograph by Isao Kanda

 一発を持っているわけでもなければ、打たれ強いわけでもない。70kgクラスでは体の線も細い方だ。にもかかわらずSB日本ウェルター級王者の宍戸大樹(シーザー)はとてつもなく強い。昨年秋、リザーバーながらS―CUPで準優勝したのを皮切りに、“日本人キラー”のチャンプアック(タイ)、“欧州の強豪”オーレ・ローセン(デンマーク)、“K―1からの刺客”大野崇(正道会館)、“韓国の魔裟斗”イム・チビンらを連破。実力で“シュートボクシングのエース”の称号を手にした。

 なぜ強くなったのか? そんな質問をぶつけると、宍戸は自分の弱さを認めたからと答えた。「以前は自分も一発で倒せる時が来るんじゃないかと期待していました。でも、先輩の緒形健一さんのパンチや土井広之さんのローキックのように、これという必殺技を持っているわけじゃない。自分の限界を知った時に、何か吹っ切れたものがあったんですよ」

 そんな宍戸のフィジカル面での最大の特徴はスタミナ。連日何十本ものダッシュを繰り返した末につけられた持久力はハンパじゃない。打ちつ打たれつの攻防を何度も繰り返していくうちに相手の息を上げさせ、弱ったスキを見ていつ終わるともしれない連打で仕留める。ローセンをKOしたハイキックやイムからダウンを奪ったヒザ蹴りなどは、その最たるものだろう。クロスゲームになったら、宍戸ほど頼もしく映る存在はない。

 もうひとつの特徴は、フットワークに円の動きを多用することだ。縦横無尽にリングを闊歩しながら、繰り出す技は多種多彩。先のイム戦ではバックハンドやバックスピンキックだけではなく、ジャンピングフックまでヒットさせていた。並みの選手が使ったら単なるカッコつけに終わりそうな大技も出入りのステップが速い宍戸にかかったら、勝負の流れを左右する効果的な一打に変身する。

 そういえば、宍戸の入場テーマ曲は、大好きな香港映画のひとつである『少林サッカー』のテーマ曲。格闘技とサッカー、リアルとファンタジーという違いはあるものの、一般大衆を唸らせられるという点で、宍戸と少林サッカーには重なり合う部分が多い。宍戸に夢を、シュートボクシングに光を。'06年の格闘技界は自分の弱さを知った賢者に微笑む。

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