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嵐の中のアベック優勝。
男女ともに7人制W杯へ。 

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byShinsuke Ida

posted2008/11/06 00:00

嵐の中のアベック優勝。男女ともに7人制W杯へ。<Number Web> photograph by Shinsuke Ida

 これほどの嵐の中の試合は、二十数年の取材経験で初めてだった。グラウンドの向こうが雨しぶきで見えない。全身ずぶ濡れなのは当然。突風で傘は壊れ、モノがそこらじゅうを飛んでいる。

 10月5日、香港で行われた7人制W杯アジア予選最終日は、台風17号から変わった熱帯低気圧の直撃による突風と豪雨の中で決行された。そんな悪条件の中で日本代表は男女アベック優勝を飾り、来年3月にドバイで開かれるW杯の出場権を獲得……と書くと、「え、男女って?」と驚く方もいるだろうか。7人制W杯は来年で5回目だが、今回は初めての男女共催。予選も同会場で同時に行われ、男女の代表は互いを応援しあって戦った。

 「応援してもらえるのは嬉しかったですよ。女子が先々に結果を出してたから、軽いプレッシャーにもなったけど」

 そう笑ったのは、初めて女子と一緒の大会を経験した男子の鈴木貴士主将だ。世界を目指す女子代表は、初戦で攻守の柱・沖縄生まれのアンジェラ・エルティング主将を鎖骨骨折で失いながら粘り強く戦い、準決勝ではアジア最強のカザフスタンを19歳・鈴木彩香の45mを走りきるトライで撃破。W杯出場を決めると、決勝では終了1分前に首藤妙のトライでタイに劇的逆転勝ち。「アンジェラをW杯へ連れて行こう、日本女子の歴史を変えよう、と言いあって戦いました」と副将の兼松由香は顔を上気させた。

 一方の男子は、1次リーグから準決勝まで3戦連続完封でW杯切符を獲得。嵐の中の決勝では、終了直前にピエイ・マフィレオが自陣ゴール前からほぼ100mを走りきるスーパートライを決め、地元香港に逆転勝ち。W杯8強経験もある韓国、フィジアン6人を擁し台風の目と見られたマレーシアが1次リーグで敗れるなど波乱続出の大会だったが「セブンズでは何が起きてもおかしくない。でもアジアでは絶対負けられない」(鈴木主将)という覚悟と、鍛え上げたディフェンスで別次元の強さを見せつけた。

 かつて秩父宮で行われていたジャパンセブンズ国際大会は'01年以降中止されたまま。国内で姿を見せる機会の少ない7人制ジャパンだが、嵐の香港で目撃した強さは本物だった。これなら来年のドバイも楽しみだけど……今回の戦い、国内のファンにも見てほしかったなあ。

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