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横綱の全勝優勝は、大関陣の怠慢である。 

text by

服部祐兒

服部祐兒Yuji Hattori

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posted2005/02/17 00:00

 大相撲初場所は、まさに横綱朝青龍の一人舞台だった。年末年始はモンゴルへ帰国し、場所前も風邪により稽古がほとんど出来ない状態。なんと関取衆との稽古は僅か1日のみだった。ぶっつけ本番での初日に臨まざるを得なかった朝青龍が、優勝を決めた日、こう漏らした。「正直今場所はどうなるか分からなかった」

 しかし、その集中力と勝利への執念が、動くはずのない身体を動かし続け、気がつけば3度目の全勝優勝を果たした。場所中も点滴を打ち続け、首も負傷し、万全とは程遠い体調での独走劇は確かに立派だ。しかし、これを許してしまった他の力士達には猛省を促したい。

 特に番付上、横綱の次に位置する3力士の不甲斐なさは目を覆うばかり。綱獲りを目指した魁皇は、2日目から泥沼の3連敗を喫したうえ、昨年九州場所中に痛めた左肩の状態が悪化し、10日目から休場に追い込まれた。年齢からして最後の挑戦とも思われたが、魁皇らしい豪快な相撲はすっかり鳴りを潜めた。一方、左肘の状態が悪いのか、本来の突き押し相撲の迫力に欠ける千代大海は、カド番脱出が精一杯。14日目にしてようやく勝ち越しを決めたが、19歳の白鵬に得意の突き押しで競り負け、吹っ飛ばされた姿はあまりにさびしい限りだった。満を持して大関に挑んだ若の里も3日目から4連敗で、あっけなく脱落。優勝争いを義務付けられた3力士が、揃いも揃ってこの体たらくでは、絶不調横綱、朝青龍の13日目取組前での優勝決定も致し方ないだろう。

 日本人力士達惨敗の中、唯一気を吐いたのが、史上初2度目の大関返り咲きを決めた関脇栃東である。復帰を決めた14日目の取組前、満員御礼の館内から後押しの手拍子が起こった。手拍子を自分のパワーに変え、得意のおっつけをきかせての一気の寄り。九州場所で負った左肩の2カ所の亀裂骨折もくっついておらず、満身創痍の体に鞭打ちながら、11勝を挙げた。「今度折れたら力士生命の終わり」という覚悟の中、自他共に認める理論派力士が挑んだ無謀な強行出場。2度にわたり地獄を見た男は、開き直りの境地で勝因をこう分析した。「相撲は気合だよ」

 不甲斐ない大関陣よ、朝青龍の執念と栃東の覚悟を、今こそ心に刻むべきだ。

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