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メジャーリーガーに見る、マネージメントの意味。 

text by

鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byKoji Asakura

posted2006/10/26 00:00

メジャーリーガーに見る、マネージメントの意味。<Number Web> photograph by Koji Asakura

 ヤンキースのAロッドことアレックス・ロドリゲス選手を巡って、シーズン終盤にひと悶着があった。スポーツ・イラストレーテッド誌のインタビューで「ムッシーナやジアンビも、すごい年俸を取りながらバッシングされない」とチームメイト批判ともとれる発言をして物議をかもしたのだ。移籍3年目の今季は「チャンスに弱い」と凡退するたびに地元ファンからもブーイングを浴び続けた。タイガースに敗れた地区シリーズでも14打数1安打の絶不調で、シリーズ敗退後のロッカーでは、100人近いメディアに取り囲まれた。それでもAロッドは律儀に質問に答えていた。

 メディアの質問に答えるのは義務──メジャーではそう考えられている。Aロッドはスコット・ボラスというスゴ腕代理人と契約しているが、あくまで代理人は契約の代行者であり、メディアにはチームの広報を通して選手が自分の責任で発言するわけだ。

 日本ではスポーツ選手のマネージメント会社の大きな仕事の一つが、メディアのコントロールである。多くの事務所が、選手のイメージ戦略にかなった相手のみに“いい”情報を発信する手段をとっている。だが、ファンの存在によって成り立つプロのプレーヤーはもちろん、アマチュアでも、例えば日本代表として国から強化費をもらってトレーニングをしていれば、そこから派生する報告義務はあるはずだ。

 「日の丸とアスリート」というテーマで、ある競技の日本代表監督経験者に取材を申し込んだ。だが、事務所から「いまは新しいイメージ作りの段階で、露出を制限している」と取材を断わられた。その一方で、ファッション雑誌ではインタビューに答えていた。日本代表の監督をした責任、その経験から伝えられるものを伝えなければならないという義務感はそこにはない。

 取材する権利と、取材を拒否する権利とはメディアと取材対象が双方向で持つものである。危険なのは、取材を拒否する権利と取材をさせないことが混同されてしまうことにある。マイナス情報でもきちっと説明して、自分の立場を明確にできるようにすること。それこそ、本当に選手をマネージメントしていく大事な要素のはずである。

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