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今年もフェデラーを阻んだ
赤土の魔力。 

text by

吉松忠弘

吉松忠弘Tadahiro Yoshimatsu

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photograph byHiromasa Mano

posted2007/06/28 00:00

今年もフェデラーを阻んだ赤土の魔力。<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

 世界1位のロジャー・フェデラーが、今年も全仏のタイトルを逃した。昨年に続き決勝で同2位のラファエル・ナダルに敗れ、9度目の挑戦も実らなかった。ウィンブルドン4連覇、全米3連覇、全豪3度の優勝を誇るフェデラーにとって、全仏の壁は非常に高い。球脚の遅い赤土が、どちらかというと短期決戦を好み、決め急ぐフェデラーの焦りを生みだすようだ。これまで4大大会すべてを制した男子は5人。1年ですべてを連続で制したのは、バッジ(米国)とレーバー(オーストラリア)の2人だけで、1969年以降、誰一人として達成していない。赤土の全仏、芝のウィンブルドンなど、性質の違う異なるサーフェスを制するのは、フェデラーにとっても、それほど難しいのだ。

 全仏が終了して2週間後、ウィンブルドンが幕を開ける。赤土と対照的で、もっとも球脚の速い芝に、選手はわずか2週間で適応しなくてはならない。これだけでも難しいのだが、全豪、全米はサーフェスがハードコートで、4大大会全制覇にはすべてのサーフェスをこなす絶対的な強さが要求される。'80年代まで、全仏を除き4大大会のサーフェスは芝だった。3大会を制しても、唯一異なるサーフェスの全仏が鬼門になっていた。現在、全豪、全米がハードコート大会になって、その困難さには拍車がかかった形だ。

 練習した環境、体格の違いなどで、選手には得手不得手のプレースタイルがある。分かりやすく言えば、サーブが速く一発で決めるプレースタイルは、ボールが弾まない芝と相性がいい。最近ではサンプラスが代表的な選手だった。ストロークで粘り、ラリーを展開するスタイルは、ボールが弾む赤土向きとなる。その典型がナダルである。ハードは、その中間だろう。フェデラーは、すべてのショットを高いレベルでこなせるオールラウンドなタイプ。だからこそ4大大会すべてで決勝に進めるのだが、全仏制覇には、まだ何かが足りないのだ。

 世界1位よりも、4大大会全制覇の価値は高い。ボルグ、マッケンロー、ベッカーら偉大な選手たちも、4大大会すべてを制することはできなかった。歴代最高の選手と評されるフェデラーだが、全仏を制して初めて、その評価が証明されるのかもしれない。

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