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Dバックスの勝ち頭、ウェッブはなぜ快調か。 

text by

出村義和

出村義和Yoshikazu Demura

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photograph byYukihito Taguchi

posted2005/06/23 00:00

Dバックスの勝ち頭、ウェッブはなぜ快調か。<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

 「個人的な目標だったら、20勝。それにサイ・ヤング賞がもらえたら最高だよ。ハハハ」と、ブランドン・ウェッブは冗談めかして笑った。その明るさも、彼のここまでの成績も、まさに今シーズンの躍進ダイヤモンドバックスを象徴しているかのようだ。

 昨年、メジャーワーストの111敗。今年も大黒柱ランディ・ジョンソンの放出を始め、チームを大改造したことから、シーズン前の予想は概ねBクラス。ところが、フタを開けてみると、オフの補強が的中したこともあり、トップ争いに加わるほどの大健闘を見せている。中でも、昨年7勝16敗と、チーム同様大きく負け越した26歳のウェッブは、開幕から好調を維持して6月6日現在7勝2敗、防御率3.44の好成績をマーク。

 「昨年はタフなシーズンだった。いい投球をしてもなかなか勝利に結びつかなかった。今年はバックが守り、打ってくれるから、よりアグレッシブに投げられる」

 ウェッブの言葉は、実際にデータが証明している。昨年、リーグ最多の139失策を演じた守備陣はクレイグ・カウンセル、ロイス・クレイトンという二遊間に一新したことなどで、ここまでリーグ最少の28失策と驚異的な改善をみせた。また、昨年は35先発のうち20回のクオリティ・スタート(6イニングを3点以下に抑えること)をマークしながら、打線の援護に恵まれずに敗戦を重ねたが、今年はそんなケースは一度だけ。

 「僕のような、シンカーを武器にゴロを打たせてとるタイプには、どうしても堅い守りが必要なんだ。今年のように二遊間に名手が揃うと本当に心強いよ」

 同僚のトニー・クラークいわく、「球界最高のデレック・ロウ(ドジャース)に匹敵するシンカー」は、バックへの信頼で、ますます切れ味を増していくのだ。

 快調のウェッブを支える要因はしかし、もう一つあるようだ。二人の大投手が残していった“遺産”とも言えるものだ。

 「メジャーに昇格した年にはランディはもちろん、カート(シリング)もいた。投球術ばかりでなく、試合前の調整の仕方など、身近にいなければわからないものを見せてもらった。二人が去った今も、それが僕の中に生きていると思う」

 ウェッブは大エースへの道を歩み始めているのかもしれない。

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