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波乱のW杯セブンズ。
日本はなぜ全敗に? 

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byShinsuke Ida

posted2009/03/26 01:32

波乱のW杯セブンズ。日本はなぜ全敗に?<Number Web> photograph by Shinsuke Ida

 砂漠を突っ切る片側8車線のハイウェイ。両側には放置された大型クレーン。市街地から約30km離れた砂漠の中に、突如現れる急造スタジアム……驚異の経済拡張と急減速がモザイク状に同居する都市ドバイで開かれた第5回W杯セブンズは、7人制ラグビーの地殻変動を思い知らされる大会だった。

 優勝は前回大会に出場できなかったウエールズ。だがハイライトは準々決勝だった。過去4大会の優勝国フィジー、NZ、イングランド、今季ワールドシリーズ最多優勝の南アというビッグ4が立て続けに敗北。日本代表・村田亙監督の「セブンズでは何が起きてもおかしくない」という口癖が現実になったのだ。

 YES WE CAN!

 スタンドから大声で叫び、踊り続けていたのはケニアの応援団だ。ケニアは準々決勝で、連覇を目指したフィジーを26対7で蹴散らした。長い手足、スピードなどの身体能力だけではない。アングルチェンジやキックも駆使した組織攻撃、スクラムで相手ボールを奪う小技でもセブンズ王国を完全に凌駕していた。

 ケニアは、15人制ではW杯出場歴ゼロで世界ランク39位。W杯セブンズも'01年が初出場で、過去2大会はともに、1次リーグ下位によるボウル戦の4強止まり。プレート戦(中位戦)に進んだ日本よりも格下だった。躍進の背景には'96年に始まり今年で14回目を迎える「サファリ・セブンズ」がある。アフリカ各国やフィジーなど強豪を招いた国際大会で、ケニアの選手は貴重な実戦経験を積んできた。

 一方、4戦全敗に終わった日本の事情は対照的だ。'95年から行われてきた日本開催の国際セブンズは'01年を最後に消滅。以後、国内で行われる大会は大学やクラブレベルに限られ、代表への選手供出を拒むトップチームも依然絶えない。昨年10月のアジア予選後、代表が参戦したのは2月の米国大会だけ、それも日本選手権出場組を外した編成だった。

 豪州が初代女王となった初開催の女子部門では、ボウル戦で中国が優勝。男子ではケニアが4強入りし、そのケニアを倒してアルゼンチンが初の決勝へ……'12年ロンドン五輪での採用に備え、新興国が次々と世界地図を塗り替えた3日間。日本も7人制の位置づけを見直さないと、世界はますます遠くなると痛感した。

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