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トリノ五輪で考えた、“ポスト2006問題”。 

text by

浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

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photograph byTamon Matsuzono

posted2006/04/06 00:00

トリノ五輪で考えた、“ポスト2006問題”。<Number Web> photograph by Tamon Matsuzono

 日本対ボスニア・ヘルツェゴビナの試合に先駆け渡欧し、トリノ五輪へと足を運んだ。幸運にも、荒川静香の金メダル獲得という、シビれるような瞬間にも立ち会うことができた。

 聞けば、フィギュアでは伊藤みどりが金メダルを逃したことをきっかけに、「ひとりの有力選手では金は取れない」と、計画的な選手育成が始まったのだという。浅田真央の出場に特例措置を求めるか否かでひと悶着あったときにも、日本スケート連盟の城田憲子強化部長はこんな主旨の話をしていた。「真央は'07年世界選手権に向けて育ててきた。トリノ五輪を目指してきた選手を出してあげたい」。

 世論の風当たりは強かった。だが偶然の天才に頼るのではなく、継続的に優秀な選手を複数輩出する、という出発地点の考え方に立てば、その選考方針は理に適ったものだった。

 日本フィギュア界初の快挙から数日後、サッカーの日本代表はボンに集結していた。最年少は松井大輔らの24歳。だが、レギュラークラスに限れば、高原直泰らの26歳である。確かに、'77年から'79年生まれは、日本サッカー史上稀に見る豊作の世代。トゥルシエはこの世代の才能に早くから目をつけ、彼らを鍛えることでワールドカップに臨んだし、ジーコもまた、彼らを中心に戦ってきた。つまり、これまでの約7年半、日本代表は偏った世代に依存してきたわけだ。

 こうした現象の先には、どんなことが待ち受けているのか。それは、“黄金期以後”に備える難しさゆえの末路。世界に目を向ければフランス代表が、Jリーグでも過去にはヴェルディが、現在ではジュビロが、身をもって示している。

 若い選手に力がないのだから、日本代表に入れないのは仕方がない。それはある一面においては正論だ。しかし継続的に世界と伍していこうとすれば、ある程度“人為的に”選手を引っ張り上げ、空白を作らない施策は必要だ(だった、と言うべきか)。今度のワールドカップでは、メッシ(アルゼンチン)、センデロス(スイス)ら、1年前にはワールドユースに出ていた選手を見ることになるだろう。彼らは同時に、次代の担い手でもある。

 ポスト2006。偶然の天才に頼ってきた日本代表の行く末に、“浅田真央”の準備は整っていない。

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