SCORE CARDBACK NUMBER

新記録達成ならずの松田次生が見せた気迫。 

text by

大串信

大串信Makoto Ogushi

PROFILE

posted2008/06/26 00:00

 全日本選手権フォーミュラ・ニッポンでは、昨年優勝をしないままチャンピオンになった松田次生が「0勝チャンピオン」という揶揄を吹き飛ばすかのように開幕以来3連続ポールトゥウインを飾り、F・ニッポン初の2年連続チャンピオンに向けて突進してきた。3連続ポールトゥウインは、2000年に高木虎之介が記録して以来の大記録である。

 迎えた第4戦は6月第2週、岡山国際サーキットで行なわれ、ここでも松田は圧倒的な強さと速さを見せつけポールポジションを獲得した。松田につけいるスキはなく、ついに松田はF・ニッポンに新記録を打ち立てるかに思われた。

 松田の対抗馬筆頭だった小暮卓史は予選2位につけていたが、なんとスタート前のピットロード速度違反により決勝スタート直後にペナルティを受け、後退してしまった。運命までもが松田の後押しを始めたかに思われた。

 そのときだった。好事魔多しとはまさにこのことだ。首位に立った松田のマシンの右後輪に、ホイールナットが緩むという思いもかけないトラブルが発生し、松田はレース序盤にして予定外のピットインを強いられることになった。

 ルール上、1回以上のピットインは義務づけられているが、予定外のタイミングでのピットインの痛手を最小限にするためにはここで残りのレースを走りきれるだけの燃料を積み込み、そのまま残り周回数を走りきるしかない。だが余分に追加した燃料の分、車体は重くなる。

 突然、松田は苦境に立たされ、燃料の重さのためペースが上げられず、優勝は遠ざかった。しかもレース終盤になってリアのハブにトラブルが発生、結局リタイアせざるをえなくなった。目前にあったF・ニッポン新記録は泡と消えた。

 このとき、ピットでマシンを降りた松田は、やり場のない怒りを身体いっぱいに表現した。グローブを床に投げつけ、置かれていたホイールを思い切り蹴り飛ばした。確かに行儀良い光景ではないと批判はできるだろう。だが、レースに勝つ男にはこれぐらいの気迫は必要ではないか。これまでの松田はあまりにも好青年に過ぎて迫力に欠けた。0勝チャンピオンは、新記録こそのがしたけれども今回のレースで本物の王者であることを見せつけてくれたように思う。

関連キーワード
松田次生
全日本選手権フォーミュラ・ニッポン

ページトップ