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外国資本の参入によって、生産界はどう変わるのか。 

text by

片山良三

片山良三Ryozo Katayama

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photograph byShigeyuki Nakao

posted2006/01/26 00:00

外国資本の参入によって、生産界はどう変わるのか。<Number Web> photograph by Shigeyuki Nakao

 UAE(アラブ首長国連邦)・ドバイの王族、マクトゥーム家が率いる巨大な競走馬事業団体がゴドルフィンである。世界中に牧場、育成場、スタリオン(種牡馬繋養場)を所有し、各国の腕利き調教師を選んで自慢の生産馬を送り込む。さらにはそのときに最も乗れているジョッキーまでをも専属契約を結んで抱えてしまう。世界一になるためには、お金を惜しむことはしないのが彼らの手法だ。

 ジャパンカップで最多の3勝をあげているランフランコ・デットーリ騎手が、長くゴドルフィンのファーストジョッキーの座に君臨している、と説明すれば彼らの目の確かさがわかるはずだし、指名されたジョッキーがどれほどの名誉と感じるかも理解できよう。武豊騎手も「ゴドルフィンのファーストが、即ち世界一の称号です」と断言して羨望の眼差しを隠さない。忙しい合間をぬって、たとえ短期でもヨーロッパやアメリカに足を運ぶのを決して厭わないのは、そういう夢を持ち続けているからこそと思われる。

 JRAではまだ外国人が馬主として参入することを認めていないため、その動きはごく小さいものだったわけだが、なにがそうさせたのか、昨年あたりから精力的な活動が目立つようになってきた。日高の入り口と言っていい場所にある門別地区で、ダーレー・ジャパン(ゴドルフィンの日本法人)が不振の牧場を買い取っているのだ。名門だったシンコーファーム、北海牧場がすでに彼らのものになった。「そのうちに、UAE門別になる」という話も大げさでないかもしれない勢いだ。

 スタリオンも同地に建築中で、目玉として昨年のジャパンカップをレコード勝ちしたアルカセットを電撃的に買収し、今春から仕事を始めるという。おそらく、繁殖牝馬の持ち込みも盛んになるだろうし、日本での生産馬でも、よくできた馬は本国や欧米でも出走するかもしれない。

 日本の生産界は警戒の目でもってダーレーの動きを見守っているが、停滞気味の業界であることを認識すれば、むしろ起爆剤として期待すべきではないかと筆者は思っている。社台グループ対日高地区という、ちょっと差がついてしまった業界地図なら、ダーレーが割り込んでの三つ巴のほうが、見ている側も面白い。

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