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職人・大道典嘉に見るソフトバンクの強さ。 

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永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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posted2005/10/13 00:00

 優勝争いをしているチームに、絶対に必要なのがいぶし銀的なベテランの存在である。優勝経験をもつ監督はみな、ふだんは死んだフリをしているベテランも、いざ有事となったときは力を発揮してくれる、と言う。中日・落合博満監督が、阪神との競り合いを演じるなか、次々とベテランを二軍に落としたことに納得できないと言ったのは、ソフトバンクの王貞治監督だった。

 その王監督が、夏場の厳しい時期に一軍昇格を命じたのが大道典嘉だ。'87年のドラフト4位だから、ホークスのユニフォームを着て18年になる。その間、親会社は南海―ダイエー―ソフトバンクと変わった。いわばホークスの生き証人。そんな大道のバッティング技術を、王監督はこう評価する。

 「バットを短く持って、決して格好はよくないけれど、球際の強さなら彼にかなう選手はいない」

 8月16日に一軍に昇格した大道は、代打として大事な場面で起用される。ハイライトはリーグ1位を決めた9月23日からの西武3連戦だ。初戦、9回に代打で登場すると「右狙いと思わせて、初球の内角球を思い切り引っぱりにいった」という技ありの一発をレフトスタンドに叩きこんで、勝利を決める。さらに2戦目、結局はサヨナラ負けを喫したものの、一時は勝ち越しとなる2点タイムリーを放って存在感を見せた。

 しかし、当の大道は控えめだ。

 「優勝戦線から離脱していたら若手に切りかえる。強いチームだからいられるんですよ」

 低迷する巨人では桑田真澄、清原和博らのベテランが肩たたきにあっている。確かに弱いホークスだったら、リストラにあっていたかもしれない。だが、大道が必要とされる理由は、それだけではない。秋山幸二・二軍監督は「暑い時期でも一番先に練習にきて、文句も言わずにバットを振っていた」と、大道の行動をしっかりと見ていた。「下で範となれるヤツは優勝争いでチームを引っぱれる」という理由での推薦。逆転本塁打を打った日のお立ち台で、大道は言った。

 「夏場の暑いとき、一生懸命に指導してくれた二軍スタッフに感謝したい」

 こういうベテランのいるチームは、やはり強い。

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