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菊池雄星の軽快な動きに
松坂大輔を見た。 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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photograph byTakashi Shimizu

posted2010/01/21 06:00

菊池雄星の軽快な動きに松坂大輔を見た。<Number Web> photograph by Takashi Shimizu

西武ライオンズに指名された直後。自身の背番号17にちなみ、年明け1月7日に入寮した

 1月10日、西武第2球場で行なわれた新人合同自主トレ。この日の菊池雄星の軽快な動きを見ていて、11年前をふと思い出した。松坂大輔が新人の時のことである。

 松坂は西武入団前のオフに都内のトレーニングジムに通い続け、上半身を鍛えていた。菊池もおそらく似たようなことをしてきたのだろう。その動きは他の5人の新人選手と比較しても、群を抜いていた。

 渡辺久信監督は「甲子園の後もずっと体を鍛えていたのが分かる。遊びたい盛りなのにね」と目を細めており、昨年の夏よりもさらに体の厚みを増してきた菊池に、首脳陣もホッと胸をなでおろしていた。

年齢不相応な野球への高い意識は、すでにメジャー級!

 高校生の多くは甲子園予選で敗退すれば8月、甲子園に出場しても9月からは本気で練習に取り組まなくなる。新人合同自主トレが始まる1月には、オーバーウェイトになっていることはザラである。

 その状況を見て、ある在京球団のトレーナーはこんなことを言っていた。

「体のキレはなくなっているし、元に戻すだけでも3カ月くらいはかかる」

 ところが菊池は違った。オフでも体を休めることなく、トレーニングに取り組んでいたのだ。メジャーの選手を思い起こさせる意識の高さに、高校生らしからぬ凄みを感じたものだ。

純朴で一途な菊池の懸念材料はプロの世界のしたたかさ。

 ただ、渡辺監督は担当スカウトの水沢英樹を通じて「飛ばしすぎ」に注意するように、指示を出したという。

「注目されると、どうしても周りが気になり、無意識のうちに張り切ってしまうから」とその理由を明かしてくれた。

 松坂同様に、合同自主トレでは第2クールまでブルペン入りを禁止。キャッチボールにじっくりと時間をかけ、ボールの回転を重視した練習に取り組むという。

 本人もそのつもりで「キャンプに入ってからも、第3クールくらいまでは立ち投げでいきます」とすでに自らの調整法を決めている。

 野球以外には無頓着だが、今時珍しいほど実直で純朴さを感じさせる好青年である。だからこそいやらしく、そして、したたかな面もあるプロの世界に面食らわないだろうか。順調にプロ野球人生をスタートさせつつある菊池に不安があるとすれば、そこなのだが……。

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