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仰木マジックを支えるパ・リーグNo.1二塁手。 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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photograph byHideki Sugiyama

posted2005/08/04 00:00

仰木マジックを支えるパ・リーグNo.1二塁手。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

 パ・リーグでナンバーワン二塁手は誰か。ソフトバンクの王貞治監督にたずねるとこう返ってきた。「オリックスの平野恵一はいやらしい選手になったね。去年までうちにいた新井(宏昌・現オリックスチーフコーチ)がきちんと教えているのだろう」

 昨年、内野と外野の併用で常時出場を遂げたが、近鉄と合併し、仰木監督が就任してから少々状況が変わる。宮古島での初の紅白戦、平野の器用さを見た仰木監督は「外野を守ってみるか」と持ちかけたのである。その時の平野の悔しそうな顔を思い出す。仰木監督の構想はこうだった。二塁には名手・水口栄二がいる。足のある平野を外野にまわせば、村松有人との1・2番コンビでかきまわす作戦がとれる。'95年のイチロー、田口壮というオリックス全盛期同様の組み立てを考えたのだ。しかし平野は「コンバートはちょっと、という気持ちはあった。二塁は野球の頭脳みたいなところもあるから」と、当時の心境を言う。

 桐蔭学園、東海大と常に陽の当たるところを歩んできた平野にとって初めての試練。打撃コーチを任された新井の指導が始まった。イチローや川崎宗則(ソフトバンク)を育てた新井は、一人前の条件として、左打ちである事、手首が柔らかく足腰がしっかりしていて、しかも足が速い事、上から叩きつけるバッティングができる事、をあげる。平野はその条件を全てクリア。「水口さんに勝たないと外野にまわされる」という危機感から、守備も基本から繰り返した。そして「イチローと比べるのは失礼だけど、いいものはある」と言う仰木監督好みの、小回りの利く選手に変貌を遂げ始めた。

 中学時代は目黒西シニアとサッカー部の両方に所属し、ともにレギュラーとして活躍。球に対するセンスの良さを見せた。高校、大学時代は屈指の守りと足で “平成の牛若丸”と呼ばれた。今では水口を三塁に押しやって二塁の定位置を確保。同じ神奈川県出身の阿部真宏(横浜高―法大)と組む二遊間は、玄人好みの存在だ。「高校時代から知っているだけにいろいろ教えてくれる」と感謝する平野。仰木監督は「短期決戦になれば平野を含めていくらでもやりようがある」とプレーオフをにらむ。今シーズン、平野は仰木マジックの申し子になろうとしている。

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