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気配り上手の女房役。
相川亮二の密かな狙い。
~好調ヤクルトを牽引する名捕手~ 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2009/07/23 06:00

気配り上手の女房役。相川亮二の密かな狙い。~好調ヤクルトを牽引する名捕手~<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

ヤクルトがFA補強するのは相川が初めて。横浜時代は、3年間選手会長を務めていたことも

 今季から活躍の場を横浜ベイスターズから東京ヤクルトに移した相川亮二。FA宣言をした横浜の捕手が、同じリーグに移籍するのは、谷繁元信に次いでふたりめである。

 横浜が相川を慰留しなかったのは、昨年のドラフトで大学ナンバーワン捕手の呼び声が高い細山田武史(早大)を獲得したため、と聞いている。しかし一人前の捕手というものはなかなか育たないものだ。「正捕手ひとり育てれば10年はお家が安泰」と言われる重要なポジションなのに、横浜が簡単に相川を放出した姿勢には、首を傾げざるを得ない。実際、相川の評価は横浜より他球団のほうが高く、特に王貞治は「投手に対して目配り、気配りの出来る女房役」と評している。

 もちろんチーム外だけではなく、ヤクルト投手陣からの信望も厚い。

 エースの石川雅規と、昨年から今年にかけて球団記録となる14連勝を達成した館山昌平は「粘り強くリードしてくれるので安心感がある」と言い、相川に全幅の信頼を置いている。

由規の才能を引き出した大胆なリード。

「若手の力を引き出すのが楽しくて仕方がない」と捕手冥利を語る相川が、その中でも特に気にかけている投手がいる。

 プロ入り2年目を迎えた由規である。

 将来性を感じさせるものの、荒削りな由規に「お前の真っ直ぐなら打たれない。思い切って投げて来い」と伝えたことが由規の開き直りを生み、今シーズン、早くも5勝という好結果につながっている。

 由規をスケールの大きな投手に育てることが目標と聞いて、かつて中嶋聡(日本ハム)が松坂大輔(レッドソックス)をリードする時「小手先で『かわす』ピッチングはやめさせようと思った」と言っていたことを思い出した。スケールの大きな投手を育てるためには、思い切った大胆なリードが必要なのだろう。

相川の強気な姿勢がヤクルト投手陣の目を覚ました。

「よそからきた人間は、どんどんアピールしないと」と語るが横浜時代は陰からチームを支えるタイプだった。相川の内面の変化が、おとなしいヤクルト投手陣を強気にさせているのかもしれない。

 その投手陣に支えられチームは好調だが、古巣相手に1勝6敗(7月6日現在)と大きく負け越していることが唯一の悩みだと言う。「お人よしと言われたくない」と、頼れる女房役は後半戦に向け反撃の機会を狙っている――。

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