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U―17世界選手権で感じた、ある“嫉妬”。 

text by

浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

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photograph byMichi Ishijima

posted2005/10/13 00:00

U―17世界選手権で感じた、ある“嫉妬”。<Number Web> photograph by Michi Ishijima

 現在、U―17世界選手権の取材で、ペルーへ来ている。これを書いている時点で大会はまだ進行中だが、中国と北朝鮮が揃って1次リーグを突破した。過去2大会のアジア勢は、出場3カ国合わせても1勝ずつしか挙げていないのだから、これは快挙と言っていいだろう。

 とはいえ、両国とも最終戦は相手の猛攻を耐えしのぎ、何とか勝ち点1を死守してのギリギリ2位通過。技術、体力、組織など、様々な面で、まだまだ世界トップとは差があるというのが現実だ。

 だが、こうして客観視を装ってみたところで、妬み半分になってしまうのは、やはりこの場に日本がいないことが大きい。とりわけ、森本貴幸という稀有の才能を送り出せなかったことは、残念の一言に尽きる。森本は昨秋時点で、すでに飛び級でU―19代表に専念していた。そこに欠かせない選手だったなら、当然の選択だったろう。だが、実際にはスーパーサブ以上の存在ではなかった。結局、森本を失ったU―16代表は世界の舞台を踏めず、森本自身もワールドユースでは、40分足らずプレーしたにすぎない。

 Jデビューが鮮烈だったため、上のレベルでやるのが当然。そんな雰囲気が醸成され、物事が惰性で進んでしまった印象は否めない。今さらながら、森本にはU―16代表を世界へと導き、自身も、日本の才能が中盤に集まりがちななか、ストライカーとして堂々と世界と渡り合ってほしかった。17歳以下とはいえ、この大会のレベルを思えば、森本が得られるものは相当に大きかったはずなのだ。

 今年8月、ドルトムントでブンデスリーガ史上最年少出場記録を更新(16歳11カ月1日)したヌリ・サヒン(トルコ)がこの大会に出場し、高い注目を集めている。その“トルコ版森本”は言う。

 「ブンデスリーガでプレーしたといっても、僕はまだ17歳。9年後、トルコが最初にワールドカップで優勝する11人になりたいんだ。この大会はまず、僕らは世界チャンピオンだぞって言えるようになるための大きなチャンス。だから、ものすごく重要な大会だし、僕はここでプレーしなきゃならないんだ」

 将来のため、手ごたえをつかもうとしたトルコの若き才能。その一方、日本の才能はどっちつかずで、貴重な時間を浪費してしまったように思えてならない。

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