SCORE CARDBACK NUMBER

J・バトンにのしかかる、
初戴冠のプレッシャー。 

text by

今宮純

今宮純Jun Imamiya

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2009/10/15 06:00

J・バトンにのしかかる、初戴冠のプレッシャー。<Number Web> photograph by Getty Images

 初タイトルを目前にしたドライバーが恐れるものは3つある。突然のマシントラブル、理不尽なペナルティ、そして自身のドライビングミスだ。これらの不安がプレッシャーを生む。

 日本GPでチャンピオン決定戦を迎えたJ・バトンは8位(1点)がやっとだった。S・ベッテルがPPからトップをキープしたまま“完全試合”を決めたのに対し、バトンは著しく精彩を欠いた。予選で黄旗区間追い越しによりペナルティを科された彼の走りは、スピンだけはしないよう守りに徹したものであった。バトンはベッテルに敗れたというより「タイトルプレッシャー」に負けたのだ。

ライコネンとハミルトンは最終戦で年間王者を決めた。

 '07年、残り2戦となった段階でK・ライコネンは首位L・ハミルトンに17点差をつけられていたが、第16戦中国GPで勝利し、ピット入り口でスピン・リタイアした敵に7点差まで接近。最終戦ブラジルGPでも連勝し、またもコースアウトを犯したハミルトンは7位に後退。ライコネンが1点差の大逆転で初戴冠を決めた。“インテルラゴスの奇跡”と呼ばれた'07年の結末から1年後、雪辱に燃えるハミルトンは雨が落ちてきた最終ラップに前の車を抜いて順位を上げ、辛くも1点差で逃げ切って最年少チャンピオンに輝いた。2年連続で我々は最終戦のドラマを見てきたわけだ。

 現在69点のベッテルは、残り2戦、ブラジルGPと初開催アブダビGPを前に、85点の首位バトンに16点差のところまでつけている。可能性としては非常に厳しいとはいえ、'07年の大逆転劇よりもその差は小さい。2人の間に71点のバリチェロがいても、これは拮抗した三つ巴戦ではなく、守るバトン対攻めるベッテルという対決と見ていい。

ベッテルが奇跡の大逆転か、バトンが振り切るか?

 だが、2人とも警戒しなければならないのはハミルトン、ライコネン、アロンソらの動きだ。彼らが優勝戦線に進出してくると、ベッテルは絶対条件である1位(10点)を獲得できず、バトンもまた鈴鹿のように上位入賞が難しくなる。

 さまざまな要素がからまる次戦ブラジルGPで、ベッテルが奇跡の大逆転へ向けてラストチャンスを握るか、バトンがプレッシャーをきっぱり断ち切って31人目の第60代新王者になるか――。最後はマシンではなく人間と人間の勝負に変わるのがF1である。

■関連コラム► 欧州ラウンドで消えたバトンの姿。揺らぎはじめたF1初戴冠。 (09/09/09)
► トルコの風に泣いたベッテル。~バトン独走を止めるはずの男~ (09/06/10)

関連キーワード
ジェンソン・バトン
セバスチャン・ベッテル
ブラウンGP

ページトップ