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「大きな喜び」を求め、パウ・ガソルはどこへ? パウ・ガソル 

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宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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posted2007/02/22 00:00

 去年9月、日本で行われたバスケットボール世界選手権決勝戦で、スペインのエース、パウ・ガソルはコートに立つことができなかった。スペインを決勝進出まで引っ張りながら準決勝で足の小指を骨折し、決勝戦は私服に松葉杖という姿でベンチに座っていた。

 それでも、その試合は人生最高の試合として彼の記憶に残った。「パウのため」と一致団結したスペインが予想外の大差でギリシャを破り、世界一の座を勝ち取ったのだ。

 「あれは格別な気持ちだった」と、大会から少ししてガソルは言っていた。

 「あの気持ちをまた味わうためなら、あれだけ大きな優勝を再び勝ち取るためなら、どんなことでもする」

 去年11月、メンフィス・グリズリーズがNBA開幕戦を戦ったとき、グリズリーズのエースでもあるガソルは、まだコートにはいなかった。骨折した足が治っていなかったのだ。

 ようやく戦列に戻ったのは12月半ば。ガソル抜きのチームは5勝17敗と苦戦していた。ガソル復帰後も負け星先行の流れは変わらず、12月末にはヘッドコーチ交代。2月4日現在、リーグ最下位の成績(12勝36敗)で、優勝どころか、プレーオフ出場も絶望的だ。

 問題は成績だけではない。チームは少し前から売りに出されており、実際に売却話も進んでいたのだが、新オーナーの資金調達が問題となってNBAが却下、振り出しに戻ってしまった。今のチームを築き上げたGMのジェリー・ウェストも今季限りで辞任との噂が根強く、どうやら、まだしばらくはチームの方向性が不透明な混乱状態が続きそうだ。

 そんな中、今度はガソルのトレード志願のニュースが流れてきた。優勝に目が向いているガソルにとって、チームの混乱が落ち着き、一から再建を始めるのを待っていられないのだ。チームを見放したと地元ファンからはブーイングまで受けたが、これがさらに彼の気持ちに拍車をかけている。

 世界の頂点に立った歓喜の夏から一転して、ホームのファンからもブーイングされる悲しい現状。半年の間に天と地を味わったガソルに、果たして、いつの日かNBAでも「あの気持ち」を味わう日がやって来るのだろうか。

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