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PRIDE、フジテレビと契約解消の波紋。 

text by

布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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photograph byToshiya Kondo

posted2006/06/22 00:00

PRIDE、フジテレビと契約解消の波紋。<Number Web> photograph by Toshiya Kondo

 いったい何があったというのか。6月5日夕方、フジテレビは『ドリームステージエンターテインメント』(DSE)への契約解除と同社が主催するPRIDEの放送打ち切りを発表した。その理由について、フジテレビ広報部は「DSEによる契約違反が発覚した。不適切な事象が起きている疑惑が強まった」と説明するにとどまり、具体的な内容までは明かしていない。

 その決定がフジの上層部の判断だったことは、同日昼から行なわれたPRIDE道場の道場開きに同局の番組制作スタッフが出席していた事実からも推測できる。4日に開催されたPRIDEウェルター級GPも、いつもと同じように収録していた。今後起こるべき何かを見越しているのか、今回のフジ側の迅速な行動からは「1秒でも早く縁を切りたい」という姿勢が窺える。PRIDEがスタートしたのは'97年10月だから、10年目という節目に大きな岐路に立たされた恰好だ。地上波からの放送権料は莫大なものであるだけに、フジテレビの突然の撤退はファイトマネーの高い選手を多数抱えるPRDIEにとっては大きな痛手だろう。

 8日にはDSEがファンにも公開するというオープン記者会見を開催。榊原信行代表は改めて無罪潔白を主張し、フジの放送がなくてもPRIDEを続けていくことを明言した。7月1日、無差別級GP2回戦で吉田秀彦との対戦が決まったミルコ・クロコップのコメント(代読)が印象に残る。「なぜフジがこのような決断をしたのか理解できない。我々ができることは究極の真剣勝負。世界最高峰の総合格闘技を見せるだけだ」

 格闘技界にPRIDEが残した功績は計り知れないほど大きい。数ある総合格闘技イベントの中で、PRIDEほどトップファイターを集結させ、なおかつクオリティの高い試合内容を維持するイベントを私は知らない。PRIDEがなければ、エメリヤーエンコ・ヒョードルがロシアン・ドリームを実現することもなかっただろう。武士道という中量級の舞台が用意されなかったら、日本人選手として初のPRIDE王者になった五味隆典が発掘されることもなかったはずだ。

 まばゆいばかりの表舞台の輝きと局側が示唆する舞台裏に広がる闇。そのギャップに我々は戸惑うしかないのか。

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