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“勝利のシンボル”を失ったレイズの行方。 

text by

出村義和

出村義和Yoshikazu Demura

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photograph byYukihito Taguchi

posted2008/08/27 00:00

“勝利のシンボル”を失ったレイズの行方。<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

 球団創設以来、10年間で最下位9回という“メジャー最弱チーム”のレイズだが、今季はポストシーズン進出も夢ではない。残り45試合(8月11日現在)で早くも球団のシーズン最多勝を更新する71勝をマーク、首位を快走中なのだ。

 しかし、好事魔多し。快進撃を牽引してきた22歳の新人、エバン・ロンゴリアが右手首に死球を受け骨折。それほど重傷ではないとはいえ、11日に故障者リスト入りしてしまったのだ。

 レイズの“驚異のシーズン”の要因は、クローザーのトロイ・パーシバルを獲得するなど補強の成功、昨年と比べ防御率を約2点も下げた投手陣の健闘、就任3年目で完全にチームを掌握したジョー・マドン監督の好采配……と、まさに枚挙に暇がない。だが、何といってもロンゴリアの存在が大きかった。

 '06年のドラフトで全体3番目に指名された逸材だ。2年間マイナーで順調に成長し、今年、メジャーに昇格。岩村明憲が三塁から二塁にコンバートされたのは、このロンゴリアがいたからだ。すでに、球団はその将来を見据えて、4月18日には6年間で1750万ドル、3年間のオプションを含めると9年間で総額4400万ドルの契約延長を交わしている。

 メジャーでもいきなり活躍し、オールスターまでに84試合に出場、打率2割7分5厘、16ホーマー、53打点。二塁打も23本放っていた。過去50年でオールスターブレークまでに15ホーマー、50打点、二塁打20本をクリアした史上3人目の新人という輝かしい記録を残した。

 しかし本人は「このぐらいの数字は残せると思ったよ」と、オールスターゲームのクラブハウスであっさりと語っていた。メジャーに昇格したばかりの新人によく見受けられる突っ張った様子はない。自然にそう言っている印象を受けた。その自信に溢れた受け答えは、選手としてのタイプも顔つきも違うが、ヤンキースのデレク・ジーターの新人当時を思い起こさせた。

 “勝利のシンボル”を一時とはいえ失ったレイズ。ヤンキースがジーター登場で'96年のワールドシリーズで名門復活の優勝を遂げたときのような存在だっただけに、奇跡の優勝を目指す戦いは一段とスリルとドラマ性を帯びてきた。

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