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厳しい時代を打開するシンプルな改革試案。 

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前田衷

前田衷Makoto Maeda

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posted2004/12/28 00:00

 今の日本で、ボクシングは非常に厳しい時代を迎えているのかもしれない。

 K―1などの格闘技のように早く決着がつく競技を見慣れたファンの目には、ボクシングはまどろっこしく映るだろう。本当は一見退屈なシーンにも技術や心理的駆け引きといったこのスポーツの持つ奥深さが含まれているのだが、これは理解されにくい。テレビの視聴者は待ってくれない。

 ボクシングをもっと魅力あるものにするために何か方法はないか。ボクシング人の誰もが頭を痛める問題だが、最近帝拳ジムの本田明彦会長がこんな提唱をして注目されている。

 「今は試合をつまらなくするクリンチ、ホールドがあまりにも多すぎる。効いたパンチを受けて思わずクリンチするぐらいは仕方ないにしても、それ以外はレフェリーが厳しく規制すべきだ」というのだ。そのために減点を取る、反則失格負けもやるべし、と。

 ボクシングの極致は「打たせずに、打つ」ことにあるが、打たせないためにただ執拗なクリンチ、ホールドを繰り返す選手が多すぎる。これは特に日本がというわけでもなく、海外のトップ選手が、一発打ってはクリンチ、全般を通じてクリンチ、ホールドの合い間に僅かに手を出し合うという試合も珍しくない。これでは見る側の興味も半減しよう。

 本田会長の提唱はシンプルだが、もしこれが実施されればドラスティックな改革にもなり得る。もっと緊迫感あふれる試合が増えることだろう。

 日本ボクシングコミッションの試合ルールには「故意にホールドやクリンチを続けること」はファウルとして、これを禁ずるとあるが、どの程度で減点となり、さらには失格負けとなるのかの明確な規定はなく、主審の裁量に任されている。現状はどうか。注意・警告はしても、減点は滅多になく、さらに失格となると、よほどのことがなければやらない。もし主審がクリンチ、ホールドのたびにレッドカードを出し、5回続いたら失格――などという規則にでもなれば、選手もこれに呼応して、減点や失格負けにならないため、打ち合うか、クリンチ以外の防御技術をさらに磨く必要もあるだろう。

 ただし、この新案を導入するためには今の日本の審判も技術を磨き、もっとリスペクトされるようでなければなるまい。

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